甲子園で球数制限・登板間隔・タイブレーク制などの新ルール導入はある?

 

甲子園でエースが多くの球数を投げると必ず議論に上がるのが「球数制限」などのルールの導入です。

 

酷使された投手が肘や肩を痛める例は後を絶ちません。

 

プロの投手が中6日で100球程度なのに対して、まだ身体の出来ていない高校生が1週間で400球、3日で300球など異常な連投をするケースは毎年起こります。

 

アメリカでも「クレイジー」と評される日本の高校野球の投手の酷使。

 

しかし、エース級の投手を3人も4人も育成するのは現実的に難しく「投手を酷使するな」と言われても監督は起用せざるを得ないのが現状だと思います。

 

そうであれば、球数制限ルールを作って力の投手が1人では勝ち上がれないようなルールを作ってしまえばいいという議論は常に起こっています。

 

こちらでは、導入が考えられるルールやその理由、そして根本的な問題を考えてみました。

 

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甲子園で球数制限は必要?イニング制限や登板間隔制限なども必要か?

甲子園での球数制限は、毎年のように話題に上ります。

しかし、現実的に検討に入ったというニュースはなかなか耳に入りません。

 

延長が18回から15回に短縮されましたが、それでもプロ野球と比較しても長い状態です。

 

高校生というまだ身体の成長過程の選手に、お金を稼いでいるプロ選手以上の負荷のかかる試合をさせるというのは、普通に考えれば問題だと思います。

 

ただ、甲子園の場合はトーナメントの一発勝負です。

長いシーズンを戦うプロとの比較は、純粋には出来ません。

 

それでも、実際に肘や肩を壊す投手がいるのも現状としてあります。

また、登板過多の直後に怪我をする訳ではなく、それが後々影響して大きな怪我に繋がる場合が多いと考えられています。

 

最近では、肘の靱帯損傷の修復手術であるトミー・ジョン手術が多く話題になります。

 

トミー・ジョン手術についてはこちらから

 

特に日本でエースとして活躍した投手が、メジャー移籍後にトミー・ジョン手術を受けるパターンが多くなっています。

 

アメリカでは、「高校生時代の過剰な投球が原因」とも考えられています。

 

この因果関係の証明は難しいですが、日本の高校生が投球過多というのは間違いありません。

もっと言えば、高校生に限らず中学生、小学生も登板過多と言えます。

 

中学生や小学生に球数制限の概念を広めるためにも、注目度の高い甲子園で球数制限などのルール制定は意義があると思います。

 

また、問題は「短期間での投球過多」です。

そうなると対策としては球数制限だけでなく、「イニング制限」「登板間隔制限」「試合間隔の延長」「延長の短縮」「タイブレーク制の導入」など様々な対策が考えられます。

 

実際に導入するのは球数制限よりもイニング制限・登板間隔制限か?

まずは最も多く議論される球数制限を考えてみます。

 

ただ、実際に導入するとなると球数制限よりもイニング制限・登板間隔制限の方が現実的です。

 

球数制限となると、投手のタイプとしてコントロールのいい投手がエースとなります。

 

しかし、高校生では球が速くてコントロールが粗削りな原石のような投手が多くいます。

甲子園で活躍してプロでも活躍している投手では、このような投手が多いです。

 

松坂大輔投手(横浜高校→西武)

佐藤由規投手(仙台育英→ヤクルト)

寺原隼人投手(日南学園→ダイエー)

ダルビッシュ有投手(東北→日本ハム)

大谷翔平選手(花巻東→日本ハム)

藤浪晋太郎投手(大阪桐蔭→阪神)

 

※所属はプロ入り直後

 

このような投手は甲子園で剛速球投手として話題になり、その後プロへ進んでいます。

しかし、高校生の頃からコントロール抜群という訳ではありません。

 

このような投手を小さくまとめてしまう可能性が球数制限にはあります。

それを回避するには、イニング制限・登板間隔制限の方が現実的です。

 

イニング制限としては、1試合のイニングを制限するか、大会全体で考えるかなど方法は色々となります。

また、イニング制限は登板間隔制限とも連動します。

 

例えば、

・9回以上を投げた投手は登板間隔を4日以上空けなければならない

・5~8回2/3を投げた投手は登板間隔を2日以上空けなければならない

・2~4回2/3を投げた投手は登板間隔を1日以上空けなければならない

 

このようなイニング制限・登板間隔制限のルールを作ったとします。

こうすると、完投したら次の試合は基本的に登板が難しくなります。

 

甲子園で優勝するには、3投手~5投手くらいは必要となります。

ベンチ入りメンバーの増員なども検討されますが、そうすると費用負担などの問題も絡んできます。

 

これと連動して試合間隔の延長などの措置もとられれば、もう少し少ない投手で勝ち上がることが可能になります。

 

このようなルールができれば、前提条件が大きく変わって「力のある投手が1人では勝てない」ルールになります。

 

このルールがあることで、チームは投手を複数育てるべく練習試合なども組みます。

また、3番手・4番手の投手が掴まっても打ち勝てるようなチーム作りを目指すかもしれません。

あるいは、投手以外の守備力に力を入れるかもしれません。

 

そもそものルール変更に近いですので、「いきなり次の夏から導入します」というものではなく移行期間がかなり必要になると思います。

 

ただ、すぐに導入出来そうなものもあります。

 

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甲子園で延長タイブレーク制導入は近いか?WBCでも導入され現実味

これらの投手の負担を減らすための対策で、最も直近かつ現実的に導入されそうなのが「延長タイブレーク制」の導入です。

 

これは、2017年に行われた第4回WBCでも採用されました。

WBCでは球数制限や登板間隔制限もあり、さらにこのタイブレーク制と甲子園で手本にした方がいいルールが満載でした。

 

WBCの球数制限などのルール一覧はこちらから

 

プロの選手が開幕前の時期だからという理由があるにしろ、ここまで制限をかけている中、日本の高校生が無制限で投げ続けるのはやはり異常と言えそうです。

 

このWBCで導入されたタイブレーク制は、延長10回は通常通り行い、延長11回はノーアウト1・2塁から始まるというものでした。

 

目的は試合時間の短縮、イニングの短縮です。

得点圏にランナーがいる状態から始まりますので、少なからず得点の可能性が高まります。

 

得点が入れば、それだけ試合が終わる確率も上がります。

 

2017年春の甲子園で、2試合連続引き分け再試合ということがありました。

この時も、延長戦は0行進が続きましたので、強制的に得点が生まれやすい機会をつくるのは有効です。

 

 

WBCでは大きな問題もなく、また実際にタイブレーク制によって試合を短縮できたと思います。

タイブレーク制の作戦の取り方なども見応えがあり、非常にいい結果になったと思います。

 

これを受けて、高校野球でもタイブレーク制の導入はありそうです。

現状は延長15回まで行い同点の場合は引き分け再試合となっています。

 

この延長15回を投げ抜いた投手が引き分け再試合でも登板すれば、まさに異常な投球数になります。

 

それを避けるためにタイブレーク制の導入で試合を短縮させるのは、投手の負担を考えても有効ですし、試合進行という意味でも有効です。

 

WBCでは延長11回からタイブレーク制に突入でしたが、個人的には高校野球では9回からタイブレーク制に突入でいいと思います。

 

サッカーでもプロは45分ハーフなのに対して高校生は40分ハーフです。

 

ただでさえ投手が少ない高校野球ですので、「9回で試合が原則終わる」形にするには8回まで同点の場合は9回からタイブレーク制突入の方がいいと思います。

 

確率は少ないですが、タイブレーク制でも同点が続いたら延長12回で引き分けとして、安打数などの要素で勝敗を決める方が選手の負担は少ないと思います。

 

特に夏の甲子園であれば、炎天下で何時間も試合をすれば熱中症のリスクもあります。

 

熱中症は死に至る可能性もありますので、何かがあってからでは遅いです。

野手も含めて、安全性を配慮すればこのようなルールの方が高校野球としてはあるべき形ではないかと思います。

 

甲子園で試合間隔の延長は?準々決勝後に1日休養日も雨で順延があれば潰れる

タイブレーク制はすぐにでも導入して欲しいですが、球数制限などは勝敗に大きく関わり、またチーム育成の観点でも大きな変化が必要になります。

 

そのような変化が少なく導入可能なのが、試合間隔の延長です。

トーナメントで甲子園は行われますので、勝ち進めば進むほど試合間隔は短くなります。

 

重要な試合で相手も強くなる中、エースを簡単にマウンドから降ろせない状況になる中で試合間隔が短くなります。

 

現在では、準々決勝後に休養日として1日試合間隔が用意されています。

しかし、雨で順延になればこの休養日が無くなります。

 

実際に、2017年の春の甲子園では休養日はなくなりました。

 

この休養日が無くなる要因が、大会期間の制限です。

 

阪神タイガースの本拠地である阪神甲子園球場を利用している点や、高校の春休み、夏休み期間の大会である点から大会期間の延長は難しいのが現状です。

 

ただ、この試合間隔を広げる方法は簡単です。

 

それは、開催球場を複数持たせる方法、あるいは都道府県別の予選の後に地方ごとの予選を行う方法です。

 

開催球場を甲子園球場だけでなく、近隣の球場を5つくらい使えば一気に試合が行えます。

これならば、試合間隔を空けても大会期間は変わりません。

 

極論、1回戦を1日で終わらせるような日程に休養日が十分確保できます。

 

また、いきなり甲子園に集結しないで、関東予選・関西予選などを行えば大会期間の短縮が無理なく可能です。

 

甲子園で行うのが、ベスト8からやベスト16からとなれば、甲子園での過密スケジュールは緩和されます。

 

都道府県予選後に休養期間を設け、その後地方予選を行う。

さらにその後休養期間を設けてから甲子園で決勝大会を行えば、登板過多を緩和できます。

 

ただ、これができない理由は「甲子園」です。

 

最大の問題は甲子園の聖地化?会場変更で投手の負担は軽減できる?

試合間隔の延長、試合会場を分けての開催、ドーム球場の利用など、対策はいくらでも打てそうなものですが、それを阻む大きな理由が「甲子園の聖地化」だと個人的には思います。

 

仮に大会会場を分ければ、例年なら甲子園で試合ができた選手が甲子園に立てなくなります。

地方予選などを行い、開会式を甲子園で行わないとすれば、それこそ甲子園に立つ機会は無くなります。

 

ただの高校野球の大会であれば、どこの球場でやろうと同じです。

 

せっかく勝ち上がった高校生にプロと同じ球場でやってもらおうということであれば、大阪ドームやマツダスタジアムなども活用すれば問題ありません。

 

地方予選でも、神宮球場やコボスタ宮城、札幌ドーム、福岡ヤフードームなどいくらでも代案はあります。

 

それができない理由は、甲子園が聖地だからです。

 

ただ、その聖地に立たせてあげる代償として、投手に過度な負担をかけて投手生命を絶つ・脅かす可能性があります。

熱中症であれば、命を奪う可能性もゼロではありません。

 

文字通り命がけで甲子園を目指している高校球児も多いと思いますが、本当に命を賭けさせるのが学生スポーツのあるべき姿でしょうか。

 

甲子園の聖地化を考慮すれば、ベスト16からは甲子園などのルールがあれば一定程度保てます。

もちろん、その手前で負けた選手は時代が違えば甲子園に立てた選手です。

 

それでもその線引きを大人がして、反対意見に対して痛みを伴った改革が、投手の負担軽減、選手の負担軽減には必要不可欠だと思います。

 

球数制限・イニング制限・タイブレーク制などの多くの改革案が出ますが、根本的な問題の1つに「聖地・甲子園」があるのではないかと思います。

 

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