スポーツ障害やスポーツ中に多い怪我について解説しています。
こちらのページでは、「インピンジメント症候群」について解説していきます。
インピンジメント症候群は、野球選手など肩の動きが多いスポーツで起こりやすい肩の怪我です。
ただ、日常生活でも起こり得る症状ですので多くの方がインピンジメント症候群になる危険性を持っています。
インピンジメント症候群は、正しく対処をすれば十分改善が見込めますので、原因の確認とリハビリが重要です。
インピンジメント症候群とは?
インピンジメント症候群とは、肩で起こる痛みや可動域低下や違和感などに繋がる症状のことです。
インピンジメントとは、「衝突」「挟む」などの意味です。
肩周りには筋肉・骨・靱帯・関節包・滑液包などの様々な組織があります。
これらの組織が全てスムーズに動けば、問題なく肩がスムーズに動きます。
ところが、筋肉のバランスが崩れたり肩の痛みや肘の痛みなどをかばって変な動きをしたりしていると肩関節で異常が起こります。
この肩の異常で、肩を動かした際に筋肉や関節包、滑液包などが挟まれたり衝突したりすることがインピンジメント症候群です。
インピンジメント症候群には2種類あり、肩関節で骨に腱板(肩のインナーマッスル)と滑液包が衝突することを肩峰下インピンジメント症候群(エクスターナルインピンジメント症候群)と言います
また、肩関節で関節唇と呼ばれる肩の車止めの役割を果たす組織が挟まれることをインターナルインピンジメント症候群と言います。
インピンジメント症候群の症状
インピンジメント症候群の症状としては、肩の痛みが出ます。
特に肩を動かした時に痛みが出る「動作時痛」が主な症状です。
野球選手であればボールを投げる時に痛みが出ます。
日常生活で起こる場合は、高いものをとる時など基本的に手を挙げた時に痛みが起こります。
投げる動作の他、バドミントンのスマッシュやテニスのサーブ、バレーボールのスパイクなどでも同様の痛みが出ます。
この時、投げる動作などのどの場面で痛みが出るかがインピンジメント症候群の症状としては重要です。
どの動作で痛みが出るかが、インピンジメント症候群の原因を突き止める上で重要な指標になります。
インピンジメント症候群の原因
インピンジメント症候群の原因は、肩を動かす際に腱板(肩のインナーマッスル)や滑液包などが挟まれることで痛みが出ます。
この組織が挟まれる原因を一言で言えば、肩の動きの悪さです。
肩の動きは、肩甲骨や背骨などが連動して起こります。
また、下半身の異常でも肩の動きは悪くなります。
右手でボールを投げる時に、足のむくみ重心を左や右に過度に傾けて投げると肩の動きは必ずおかしくなります。
この為、肩の動きが悪いだけでは原因の特定が難しいです。
その為、インピンジメント症候群の原因は全身の様々なところにあると言えます。
実際にインピンジメント症候群を改善するには、この原因を細かく分析する必要があります。
ただ、下半身に何らかの問題があっても肩周りの筋肉のバランスや肩甲骨周りの筋肉のバランス、背骨の筋肉のバランスが崩れている場合がほとんどです。
つまり原因は様々ですが、肩がスムーズに動かないことがインピンジメント症候群と言えます。
インピンジメント症候群の治療方法
インピンジメント症候群の治療方法としては、まずは安静にすることが求められます。
これはどのようなスポーツ障害でも同じですが、過度な負担がかかって起こったものは安静にすれば症状は改善します。
ただ安静にするだけでなく、RICE処置という処置が一般的です。
RICE処置は応急処置の頭文字をとったものです。
R(rest)…安静
I(ice)…冷却(アイシング)
C(compression)…圧迫
E(elevation)…挙上
ただ、慢性化した痛みであればそこまで炎症が強くない場合もありますのでアイシングは必要がない場合もあります。
インピンジメント症候群では、このような処置よりもリハビリの方が重要と言えます。
理由はインピンジメント症候群の原因が肩の動きの悪さにありますので、肩がスムーズに動かない限りインピンジメント症候群の根本的な改善が難しいからです。
インピンジメント症候群のリハビリ方法
インピンジメント症候群のリハビリ方法としては、まずはインピンジメント症候群の原因を突き止めなければなりません。
肩周りや肩甲骨、背骨などの筋肉のバランスを分析し、スポーツ選手の場合は痛みが出る動作の分析をします。
その動作分析の中から、下半身や体幹に何らかの問題がある場合はそこも改善していきます。
動きが悪い場合は、姿勢も崩れています。
姿勢は動作の始まりの体勢ですので、姿勢が崩れれば必ず動きも悪くなります。
インピンジメント症候群になりやすい姿勢は、猫背や巻き肩姿勢です。
姿勢が崩れる場合は、筋肉のバランスが崩れています。
筋肉のバランスは、簡単に言えば弱い筋肉と硬い筋肉が出来ることで崩れます。
弱い筋肉をトレーニングして、硬い筋肉をストレッチしていけばこの筋肉のバランスは改善します。
また、動きは痛みなどの記憶とも密接にかかわります。
特にインピンジメント症候群で痛みがある中肩を動かし続けた場合は、痛みが引いても痛かったことを脳が覚えています。
その為、痛みを回避するような動作を勝手にしてしまいます。
その為、動作学習ということで正しい動きを身体に覚えこませる必要があります。
このように、「このストレッチをすればインピンジメント症候群が治る」ということはないです。
インピンジメント症候群の原因をしっかり分析し、その状態に合わせたトレーニングやストレッチが必要です。
場合によっては、フォーム改造なども必要になるかもしれません。
このような怪我のリハビリ方法は、パーソナルトレーニングで怪我のリハビリをご覧くださいませ。
インピンジメント症候群以外の肩の怪我
インピンジメント症候群は野球選手に多い怪我の1つですが、インピンジメント症候群以外にも野球選手に起こりやすい肩の痛みはあります。
ここでは、野球選手に多い肩の痛みをご紹介します。
・肩関節唇損傷
・腱板損傷
・上腕二頭筋長頭腱炎
肩の怪我の種類一覧はこちらで解説しています。
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