スポーツ中に起こりやすい怪我である打撲について解説していきます。
打撲というと軽い怪我に思われがちですが、痛みも強く合併症なども起こり得ます。
たかが打撲と侮って適切な処置をしないとより大きな怪我に発展する可能性があります。
ここでは打撲の対処方法・応急処置方法から合併症などについて解説していきます。
打撲とは?別名「打ち身」
打撲とは、転倒何かにぶつかった、何かをぶつけられたなどによる傷口を伴わない軟部組織の損傷のことを言います。
簡単に言えばぶつけて起こる怪我です。
軟部組織には骨は含まれませんので、骨折や骨挫傷などは打撲に含まれません。
軟部組織とは筋肉や脂肪など皮下組織の総称です。
外からの強い衝撃によりこれらの組織が損傷することを打撲と言います。
打撲は別名「打ち身」とも呼ばれます。
正式には打撲と言いますが、俗称が打ち身という位置づけになります。
打撲は様々な場所で起こります。
軟部組織があり、ぶつける可能性がある場所であればどこでも打撲は起こりますので、打撲が起こる場所はどこでも起こります。
スポーツ中であれば、転倒で起こる打撲や相手選手とぶつかって起こる打撲などがあります。
相手選手との接触であれば太ももや腕、顔面などで起こりやすいと言えます。
転倒でも腕や手、肩などで起こります。
打撲について、メディカルノートホームページではこのように解説しています。
打撲(だぼく)とは、なんらかの衝撃によって体の一部におこる損傷のことです。
皮膚やその下の軟部組織なんぶそしき(筋、脂肪、血管など)が損傷をうけるため、筋肉組織のあいだに出血や炎症がおこります。「打ち身」と呼称されることもあります。
メディカルノート 打撲について
打撲について打撲(だぼく)とは、なんらかの衝撃によって体の一部におこる損傷のことです。 皮膚やその下の軟部組織(なんぶそしき)(筋、脂肪、血管など)が損傷をうけるため、筋肉組織のあいだに出血や炎症がおこります。「打ち身」と呼称されることもあ...
やはり打撲の定義としてはかなり広い意味の言葉になります。
打撲の症状
打撲の症状としては、まずは強い痛みが起こります。
打撲でぶつけた場所に強い痛みが出ますが、軽症であればいつ痛めたのか分からないうちに打撲をしていることもあります。
打撲の症状では痛みが出るだけでなくその後腫れが出てきます。
腫れや赤くなる、熱くなる(熱感)などの炎症反応が起こります。
打撲の程度によって打撲の症状も程度がかなり違います。
軽症の打撲であれば少し腫れる程度ですが、重症であれば腫れが酷く痛みも強く出ます。
打撲で血管が損傷した場合は皮下組織に血腫が出来て赤や青紫などの変色が起こります。
打撲で「あおたん」と呼ばれるような青紫色の跡が出来るのはこの為です。
また打撲の場合は骨折と判別がつきにくいことがあります。
打撲でも骨折でも強い衝撃で起こる怪我ですので、怪我の仕方としては同じです。
骨折の場合は可動域制限があったり、痛みの範囲が広がるのが特徴です。
ただ打撲でも可動域制限が起こる場合もあり、痛みの範囲も強ければよくわかりません。
打撲か骨折か判別がつかない場合は、骨折である前提で処置をするべきです。
打撲を骨折と思って処置をすれば、大きな問題はないですが、骨折を打撲と思っていると対処が遅れてしまいます。
これはその他の怪我でも同じですが、判別を迷ったらより重症の怪我であると認識した方が対処方法としては適切と言えます。
打撲の対処方法
打撲の対処方法としては、RICE処置というものがあります。
RICE処置とは、対処方法の頭文字をとったものです。
R…Rest 安静
I…Icing 冷却
C…Compression 圧迫
E…Elevation 挙上
これらのRICE処置が打撲の対処方法としては有効と言われています。
炎症が起こっていますので、これらの処置で炎症反応を抑えます。
安静は休むことです。
特に打撲で怪我をした場所を動かさないようにします。
骨折ではなく打撲であれば動かすことが可能ですが、過度に動かすことで症状が悪化する可能性があります。
冷却とはアイシングです。
アイシングでは、氷水など0℃に近いもので冷やすことで効果的に患部を冷やすことができます。
圧迫は、アイシングと同時に行うことが多いです。
アイシングのバッグをバンテージなどで圧迫しながら冷却します。
挙上では、心臓よりも高い位置に患部を置きます。
足などを打撲した場合は、寝た状態で患部を高い位置に置いてアイシングをします。
その状態で圧迫しておけば、RICE処置全てが行えます。
打撲で出来るしこりとは?
打撲で怪我をしたあとに、痛みが引いてから患部にしこりが残る場合があります。
これは打撲で出来た瘢痕が原因で起こります。
打撲で瘢痕が出来る原因は、強い内出血の処置がされていなかったことで、打撲で出来た血腫が線維性の組織に置き換わりなかなか吸収されずに起こります。
この打撲で出来るしこりはなかなか治りが悪く、治るまで3~6か月かかる場合もあります。
打撲によるしこりを防ぐ方法は、打撲の処置をしっかり行うことです。
特にRICE処置をしっかり行うことで、打撲によるしこりを防ぐことができます。
打撲でしこりが出来てしまった場合は、自然と吸収されるのを待つしかないですが、超音波療法などで治りを早くすることができます。
また、手術となる場合もあります。
手術自体はあまり難しいものではありませんが、たかが打撲と言っても処置を怠れば手術にまで発展する可能性があります。
打撲の合併症「コンパートメント症候群」
打撲の合併症として、コンパートメント症候群が挙げられます。
コンパートメント症候群とは、打撲や骨折・脱臼などによる出血で組織内圧が上昇し細動脈の血行障害を起こして筋腱神経組織が壊死状態に陥る怪我です。
一度組織が壊死してしまえば、その影響は生涯に渡る場合があります。
その為、迅速な措置が必要になります。
足先、指先の痺れや知覚障害などがある場合はコンパートメント症候群の可能性があります。
コンパートメント症候群の疑いがある場合は、医療機関の受診が必要になります。
打撲の合併症「外傷性骨化性筋炎」
打撲の合併症としては、外傷性骨化性筋炎もあります。
外傷性骨化性筋炎は、打撲のあとになかなか関節が曲がらないなどの症状があります。
特に太ももや腕に起こりやすい合併症です。
外傷性骨化性筋炎は、大腿骨や上腕骨の近くに筋肉内出血の吸収が不良で骨のような塊が出来てしまうものです。
この塊が筋肉を刺激することで可動域制限、筋力低下などを招きます。
このような症状がある場合も、医療機関の受診が必要になります。
打撲の怪我を負ったスポーツ選手例
打撲は様々なスポーツ、様々な場面で起こります。
ここでは、プロスポーツで起こった打撲の例を紹介します。
・阪神タイガース、俊介選手が中谷選手と激突して打撲
・香川真司選手 相手選手のタックルを受けて背中を打撲
・菊池涼介選手、守備でスライディングキャッチを試みフェンス激突、右膝打撲の怪我
・遠藤保仁選手 右太もも打撲の怪我で負傷交代
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