足首の怪我では、足首の捻挫がもっとも多い怪我です。
ただ、ほかにも足首の痛みにつながるものがあります。
その中の1つに、有痛性三角骨障害があります。
聞きなれない名前ですが、三角骨という過剰骨(余分な骨)による足首の痛みです。
三角骨がある人自体はかなり多いと言われ、何かの拍子に痛みが出て有痛性三角骨障害に発展する可能性があります。
その場合、手術を受ける必要性のあるケースが考えられますので、医師の診察を受ける必要があります。
有痛性三角骨障害とは?
有痛性三角骨障害とは、足首の後方(裏側)に痛みが出る怪我です。
有痛性三角骨障害は、足首をひねって靱帯を痛める捻挫や、ぶつけて怪我をする打撲とは異なる点があります。
それが、「三角骨」という余分な骨が原因となっている点です。
三角骨とは、過剰骨と呼ばれる余分な骨の1つです。
骨は成長過程で別の骨だったものがくっつく(癒合する)という過程を経るものがあります。
この癒合が何らかの上手くいかず、余分な骨となってしまったものが過剰骨です。
過剰骨は三角骨だけでなく、全身のいろいろな箇所で起こり得ます。
特に足首周りは過剰骨ができやすく、足首の外側に出来る「外脛骨」というものが一番多くできる過剰骨です。
この外脛骨が原因で痛みが出るものを、有痛性外脛骨と言います。
三角骨は外脛骨に次ぐ2番目に多い過剰骨と言われ、決して珍しいものではありません。
実際に、三角骨はあるけど痛みはなく気が付いていないという人も多いようで、三角骨がある人の比率などは正確には把握されていません。
三角骨は足首の後方に出来る過剰骨で、イメージとしてはアキレス腱のあたりに出来ます。
この三角骨は足首を立てたつま先の状態で足首の関節に挟まることがあります。
三角骨が挟まった結果痛みが生じるのが、有痛性三角骨障害です。
バレエダンサーがつま先立ちになったとき、サッカー選手のシュートする瞬間、野球のピッチャーの投げる瞬間などでこのつま先立ちの形になることで有痛性三角骨障害が引き起こされます。
また、今まで何の痛みもなかったものの強い衝撃が加わって三角骨の位置がずれて、有痛性三角骨障害が起こることも多いです。
足首の捻挫がきっかけになったり、ジャンプでの着地を失敗したことがきっかけになったりと、様々な理由で有痛性三角骨障害が引き起こされます。
整形外科のサイトでは、有痛性外脛骨についてこのように解説されています。
外脛骨とは足の舟状骨という骨の内側に存在する過剰骨(普通にはない余分な骨)で、15~20%の人に認められます。多くは骨の出っ張りがみられるだけですが、これに痛みを伴うような病態を有痛性外脛骨と言います。
医療法人慶裕会 吉野整形外科HPより
有痛性外脛骨について神奈川区横浜市の整形外科、吉野整形外科の案内。整形外科疾患全般を治療。外反母趾や関節リウマチの専門外来を紹介。
有痛性三角骨障害の症状
有痛性三角骨障害の症状とは、足首後方の痛みです。
何もしていなければ痛みは出ないが、先ほどのつま先立ちの状態になると痛みが出るということが多いです。
軽傷の場合はそこまで気にならないので放っておかれることが多いですが、徐々に痛みが強くなってくると放っておけなくなり、最終的にはプレーが出来なくなるスポーツ選手も多いです。
三角骨は遊離骨となり関節内を移動する場合もあります。
この場合、関節に挟まれば痛みが出るものの、挟まなければ特に痛みは出ないということになります。
そうなると、痛いときは痛いけど痛くないときは痛くないという気まぐれな症状となります。
似たような怪我で、肘の遊離軟骨があります。
遊離軟骨とは、関節ねずみとも呼ばれ同じように関節内を漂います。
そして肘の関節に挟まれば痛みが出るが、挟まらなければ痛みが出ないという症状が出ます。
有痛性三角骨障害の治療方法
有痛性三角骨障害の治療方法としては、テーピングなどで固定して痛みが出る動きをしないという方法があります。
根本的に有痛性三角骨障害を解消するためには、手術で三角骨を取り除く方法が一番です。
三角骨はそもそも必要な骨ではなく、何らかの原因で足首の骨が上手くくっつかなかった結果できた余分な骨です。
その為、三角骨はなくなっても問題ない骨です。
ただ手術となるとどんな手術でもリスクは伴います。
手術を避けたい場合は、テーピングでの固定などの治療が施されることが多いです。
さらに、足首の捻挫などがきっかけとなり有痛性三角骨障害が起こる場合も多く、その阿蘇首のリハビリを経て痛みが出なくなることも多いです。
足首の動きが悪いために痛みが出るので、足首の動きを正せば痛みは出なくなるということです。
ただ根本的な有痛性三角骨障害の改善には、やはり手術が検討されます。
有痛性三角骨障害は手術を受けるべきか?
有痛性三角骨障害の場合は、常に手術の選択肢が付きまといます。
理由としては、やはり三角骨が無くならないと根本的な解決にはつながらないケースがあるからです。
何度も痛みが再発する、何年も痛みを抱えながら運動しているという場合は、三角骨の除去手術を受けてしまう方が早いと思います。
ただ、その場合は足首の感覚が今までと変わりますのでまた違う怪我が起こる可能性もあります。
足首周りの負担が変わりますので、アキレス腱炎などを発症する可能性が考えられます。
ただ、今まで足首の動きが悪かったものが良くなることで非常に調子が良くなるという可能性も考えられます。
つまり、手術はやってみないと分からない側面があります。
これはどのような手術にも言えることです。
有痛性三角骨障害は全部手術をした方がいいとも言えませんし、手術をすれば必ず良くなるとも言い切れません。
ただ、根本的な改善には手術の選択肢は有力です。
個人的には手術をした方がいいケースは、有痛性三角骨障害では非常に多いと思います。
大谷翔平選手も右足首の有痛性三角骨障害で手術
大谷翔平選手も、有痛性三角骨がありました。
大谷翔平選手も、やはり足首に強い衝撃が加わった際に悪化したようです。
日本ハム時代の2016年日本シリーズで1塁に駆け抜けた際に足幅が大きくなり、強くベースを踏んだ際に痛みが出ました。
さらに、投球時には最後プレートを蹴りますが、この時につま先立ちのような体勢になります。
まさに有痛性三角骨障害で痛みが出る体勢です。
この症状により、大谷翔平選手はまず投手としての出場を断念し、その後野手としても出場辞退となりました。
大谷翔平選手は手術を受けるかわかりませんが、根本的な解消にはやはり手術を受けるべきではないかと思います。
※追記
2017年シーズン終了後に、大谷翔平投手は有痛性三角骨の手術を受けました。
翌シーズンからメジャー移籍を果たすというタイミングでの手術ですので、結果論で言えば前年に手術出来ていればよかったと言えます。
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