スポーツ中に多い怪我であるハムストリングス肉離れについて解説していきます。
ハムストリングスとは太もも裏の筋肉のことです。
このハムストリングスは特に肉離れが起こりやすい筋肉として知られています。
肉離れというと身近な分、軽い怪我と思われがちです。
ところが再発が多い怪我であることや、重症であれば完治まで数か月かかるなど厄介な怪我と言えます。
ハムストリングス肉離れ(太もも裏の肉離れ)とは?
ハムストリングス肉離れのとは、ハムストリングスという太もも裏の筋肉が肉離れをしてしまう怪我です。
ハムストリングスは3つの筋肉で構成されています。
ハムストリングスを構成する3つの筋肉はそれぞれ「大腿二頭筋」「半腱様筋」「半膜様筋」という筋肉です。
これらの筋肉の肉離れの総称がハムストリングス肉離れの怪我ですので、正確に言えば「大腿二頭筋肉離れ」「半腱様筋肉離れ」などの名前になります。
肉離れとは筋肉が過度に引き伸ばされたことによって起こる怪我で、筋肉が部分断裂や完全断裂をしてしまう怪我です。
肉離れは主に身長の止まった高校生以上から発症しやすい怪我です。
筋肉が収縮する際に爆発的に強い収縮が起こると、それに耐えきれずに筋肉が部分断裂・完全断裂を引き起こしてしまいます。
つまり、筋肉の収縮がかなり強いことや柔軟性が低いことなどが肉離れの原因となります。
また、強い収縮が起こらないと肉離れには至らないので日常生活などではあまり起こる怪我ではなく、スポーツ中に多い怪我と言えます。
ハムストリングス肉離れの原因
ハムストリングス肉離れの原因は、様々な要素が絡んでいます。
大きく分類すると、ハムストリングス肉離れの原因は以下の4つが考えられます。
・ハムストリングスの柔軟性の低下
・ハムストリングスの筋力低下
・ハムストリングスと他の筋肉のバランスの悪さ(主に太もも前の筋肉)
・ハムストリングスを過剰に使ってしまう筋肉のバランスの悪さ
ハムストリングス肉離れは、ハムストリングスが過度に引き伸ばされて起こります。
ハムストリングスの柔軟性が低下していると「過度に引き伸ばされる」の基準が下がり、ちょっとした動作でもすぐに「過度に引き伸ばされた」状態になります。
このハムストリングスの柔軟性低下は、ハムストリングス肉離れの原因としては非常に大きいと思います。
また、ハムストリングスが過度に引き伸ばされてもハムストリングスの筋力があれば耐えられます。
これは他の筋肉とのバランスの問題もありますが、単純にハムストリングスの筋力低下によってハムストリングスが肉離れしやすい状態になると言えます。
ただハムストリングスの筋力を考えるだけではなく、ハムストリングスと他の筋肉との筋力差も重要です。
特に、拮抗筋と呼ばれる反対側の筋肉とのバランスが重要です。
ハムストリングスの拮抗筋は太もも前の筋肉「大腿四頭筋」です。
筋トレなどで過剰に大腿四頭筋は鍛えたが、逆側のハムストリングスの筋力は変わっていないなどのアンバランスな状態がハムストリングス肉離れの原因となり得ます。
また、ハムストリングスに筋力や柔軟性がある程度あっても、ハムストリングスが過度に使われていると肉離れのリスクは上がります。
ハムストリングスは股関節の伸展動作という足を後ろに持っていく動きを担っています。
股関節の伸展動作は、他に大殿筋などお尻の筋肉も担っています。
この大殿筋などお尻の筋肉が上手く働かず、代わりに過度にハムストリングスを使う状態になっていると、ハムストリングス肉離れの原因となります。
これらのハムストリングス肉離れに繋がる原因がいくつか重なった時に、ハムストリングス肉離れが起こるリスクが上がります。
ハムストリングス肉離れの原因について、整形外科の先生の解説です。
・筋肉の疲労
・筋の柔軟性低下
・ウォーミングアップ不足
・大腿部前面と後面の筋力のバランスが悪い(大腿四頭筋とハムストリングス)
・間違ったランニングフォーム など肉離れ(ハムストリングス)|AR-Ex 尾山台整形外科
肉離れ(ハムストリングス) | AR-Ex 尾山台整形外科肉離れとは 肉離れとは 筋が過度に引き伸ばされたり、筋肉が縮んだ状態から引き伸ばされた際に筋肉繊維の一部が切れたり(部分断裂)、完全に切れたりすることです(完全断裂)。関節を二つ以上またぐ筋肉(ハムストリングス=大腿部の後面の筋など)に多く...
やはり原因は複合的ですので、ハムストリングスが硬い=肉離れというほど単純な原因ではないと言えます。
ハムストリングス肉離れの予防方法
ハムストリングスの肉離れの原因が分かれば、予防方法もわかります。
まずはハムストリングスの柔軟性の低下が肉離れの原因となりますので、ハムストリングスの柔軟性を高める必要があります。
柔軟性を高めるにはストレッチが有効ですが、ストレッチのやり方にも注意が必要です。
スタティックストレッチと呼ばれる、反動を付けずにゆっくり行うストレッチは確かに筋肉は伸びますが実際に走ったり跳んだりの動作を考えるとこれだけでは不十分です。
アクティブストレッチなどと呼ばれる動きながらのストレッチも行うことで、よりハムストリングス肉離れの予防方法としては適切なストレッチとなります。
ハムストリングス肉離れのリハビリ方法
ハムストリングス肉離れは再発率が高いことが特徴です。
これは肉離れの治癒の仕方を考えるとわかります。
肉離れが起こると、筋肉では内出血が起こります。
この出血で筋肉の損傷した部分を補修するような形で肉離れの治療が始まります。
イメージ的には筋肉に血の塊がくっついている状態です。
これは通常の筋肉よりも剥がれやすいですので、これが再発の起こりやすい原因です。
また、先程のハムストリングス肉離れの原因になる筋肉のアンバランスやハムストリングスの柔軟性などの問題が解決されていなければ、同じようにハムストリングス肉離れが起こります。
ハムストリングス肉離れのリハビリでは、このハムストリングス肉離れの原因になる筋力不足や柔軟性不足を改善します。
つまりハムストリングス肉離れの予防法にもなるストレッチは、リハビリとしても有効です。
また筋トレもハムストリングス肉離れのリハビリとしては有効ですが、注意は必要です。
単純にハムストリングスが弱い場合はわかりやすいですが、大腿四頭筋との筋力バランスの問題などを考えると、下手に筋トレをしてハムストリングス肉離れの再発率を上げる可能性も考えられます。
ハムストリングス肉離れのリハビリは、パーソナルトレーナーや理学療法士などの専門家のもと行うのがベストです!
ハムストリングス肉離れをしたスポーツ選手の例
実際にハムストリングス肉離れをしたスポーツ選手の例を紹介します。
競技の種類やレベルに関わらず、幅広いスポーツでハムストリングス肉離れが起こることが分かります。
・大谷翔平選手(野球・左大腿二頭筋肉離れ)
・小林悠選手(サッカー・左ハムストリングス肉離れ)
・須田幸太投手(野球・左ハムストリングス肉離れ)
・中村晃選手(野球・右ハムストリングス肉離れ)
・槙野智章選手(サッカー・右ハムストリングス肉離れ)
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