野球選手に多い怪我である有鈎骨骨折について解説していきます。
常用漢字ではなかなか見ない漢字ですが、読み方は有鈎骨(ゆうこうこつ)です。
有鈎骨とも有鉤骨とも表記されますが、こちらの記事では有鈎骨で統一してあります。
野球選手に非常に多い怪我で、毎年のようにプロ野球選手が有効骨骨折で離脱を強いられています。
こちらでは、有鈎骨骨折の原因・手術・全治の目安などについて解説していきます。
有鈎骨骨折とは?
有鈎骨骨折とは、手首の骨の1つである有鈎骨の骨折です。
読み方は有鈎骨(ゆうこうこつ)です。
有鈎骨とは手首にある骨で、手首は小さい骨が8個連なり構成されています。
手首の骨は手根骨(しゅこんこつ)と呼ばれ、有鈎骨の他に7つあります。
8個の手根骨一覧
・大菱形骨(だいりょうけいこつ)
・小菱形骨(しょうりょうけいこつ)
・有頭骨(ゆうとうこつ)
・有鈎骨(ゆうこうこつ)
・舟状骨(しゅうじょうこつ)
・月状骨(げつじょうこつ)
・三角骨(さんかくこつ)
・豆状骨(とうじょうこつ)
有鈎骨骨折は、Wikipediaでこのように解説されています。
有鈎骨(ゆうこうこつ、有鉤骨)(羅名hamatum Os,hamatum)とは、四肢動物の前肢を構成する短骨の一つである。
ヒトの有鈎骨は、左右の手に1本ずつ存在し大菱形骨、小菱形骨、有頭骨とともに遠位手根骨を構成している。
Wikipedia 有鈎骨より抜粋
有鈎骨 - Wikipedia
手首の骨の中で、野球選手がバッティングで骨折するのはほぼ間違いなく有鈎骨です。
有鈎骨を骨折する原因は、有鈎骨の位置が関係します。
有鈎骨骨折の原因
有鈎骨の原因は、有鈎骨への強い衝撃です。
野球選手の有鈎骨骨折は、ほとんどバッティングで起こります。
バッターがボールを打った瞬間に怪我をするケースがほとんどです。
それもほとんどがファールや凡打などの、”ミスショット”です。
有鈎骨骨折の原因を考えると、バットのグリップが関係します。
有鈎骨を骨折する理由としては、バットのグリップが当たる位置がちょうどこの有鈎骨の位置になります。
有鈎骨を骨折するのは会心の当たりではなく、ミスショットです。
バットの芯でボールを捕らえると、ほとんど抵抗が無く手が痺れることはありません。
これは、バットの力がボールに上手く伝わっている為です。
逆に打ち損じのファウルやポップフライなどは、バットの力がボールに上手く伝わらず、その力がグリップを介して手首に伝わります。
グリップの当たる位置=有鈎骨なので、手首に伝わる力は有鈎骨に加わります。
1回ファウルを打ったくらいでは、有鈎骨が骨折することはありません。
ただ、長年の有鈎骨へのストレスの蓄積や、有鈎骨の状態、肘や肩の怪我や動きの不良によって過度に有鈎骨に負担がかかるなど、様々な理由が重なった結果有鈎骨の骨折に至ると考えられます。
実際に、日本ハムの杉谷拳士選手も中日の高橋周平選手も、ファウルを打った瞬間に有鈎骨骨折となっています。
また、同じような理由でテニスやゴルフでも有鈎骨骨折となる場合もありますが、野球選手に比べるとその数は少ないです。
テニスのボールの柔らかさや、止まったボールを打つゴルフと比べ、硬いボールが18メートル先から150キロくらいのスピードで飛んでくるのを打つ野球の方が、有鈎骨への負担が多いのは、何となく想像がつきますね。
その他転んで手を付いた時に有鈎骨骨折という例もあります。
有鈎骨骨折で多いのは右手首?左手首?
有鈎骨骨折は両手で起こる怪我ではなく、片手の有鈎骨が骨折します。
左右のどちらの有鈎骨骨折が多いかというと、これはそのバッターの打席の左右によります。
グリップが当たる為に有鈎骨骨折が起こりますので、バットを握った時に下になる方の手の有鈎骨が骨折します。
つまり、右バッターは左手有鈎骨骨折、左バッターは右手有鈎骨骨折となります。
先程の日本ハムの杉谷拳士選手は両打ちですが、左打席でファウルを打った瞬間に骨折しましたので右手有鈎骨骨折。
中日の高橋周平選手は左打ちですので、同じく右手有鈎骨骨折です。
ゴルフもテニスも同じく、グリップ側の手(下の手)で有鈎骨骨折が起こります。
有鈎骨骨折の全治の目安
有鈎骨骨折の場合は、ほぼ手術が行われます。
手術の種類としては主に2つで、1つは骨片の摘出です。
これは骨折で折れてしまった有鈎骨の破片を取り除くような手術です。
もう1つは骨接合術で、これは有鈎骨骨折の場合上手く骨がくっつきにくいので、それを助けるような手術です。
有鈎骨骨折の手術後は1~2週間のギプス固定となることが多く、その後リハビリを経て復帰となります。
野球選手の場合は再び150キロくらいのボールを打たないといけないので、実戦復帰まで1か月半~2ヶ月、1軍の試合復帰までは2~3ヶ月程かかるケースが多いようです。
有鈎骨骨折は野球選手である以上ゼロには出来ませんが、リスクマネジメントは可能です。
現に中日ドラゴンズの高橋周平選手が有鈎骨骨折した時は、骨折した試合前の練習から痛みがあったようです。
有鈎骨骨折の存在を知り、無理せず休むことで骨折は防げる場合もあります。
また、過度に手首に負担がかからないように肘や肩の怪我を治すことも間接的に有鈎骨骨折のリスクを下げることになります。
有鈎骨骨折の怪我をしたプロ野球選手一覧
有鈎骨骨折は野球選手に多い怪我です。
ここでは、有鈎骨骨折の怪我をしたことがあるプロ野球選手を紹介します。
清宮幸太郎選手(日本ハムファイターズ)2019年
スティーブン・モヤ選手(中日ドラゴンズ)2018年
森本龍弥選手(北海道日本ハムファイターズ)2018年
堂上直倫選手(中日ドラゴンズ )2017年
雄平選手(東京ヤクルトスワローズ)2017年
宇佐見真吾選手(読売ジャイアンツ)2017年
高橋大樹選手(広島東洋カープ)2016年
片岡治大選手(読売ジャイアンツ)2016年
岡崎太一選手(阪神タイガース)2016年
高橋周平選手(中日ドラゴンズ)2016年
杉谷拳士選手(北海道本ハムファイターズ)2016年
ジャフェット・アマダー選手(東北楽天ゴールデンイーグルス)2016年
網谷圭将選手(横浜DeNAベイスターズ)2016年
堀内謙伍選手(東北楽天ゴールデンイーグルス)2016年
高山俊選手(明治大学→阪神タイガース)2015年
※高山選手はプロ入り前に負傷
伏見寅威選手(オリックスバファローズ)2015年
西野真弘選手(オリックスバファローズ)2015年
枡田慎太郎選手(東北楽天ゴールデンイーグルス)2015年
松本哲也選手(読売ジャイアンツ)2014年
小川泰弘投手(東京ヤクルトスワローズ)2014年
大嶋匠選手(北海道本ハムファイターズ)2013年
森本稀哲選手(横浜DeNAベイスターズ)2012年
松田宣浩選手(福岡ソフトバンクホークス)2010年
天谷宗一郎選手(広島東洋カープ)2009年
中田翔選手(北海道本ハムファイターズ)2008年
今江敏晃選手(千葉ロッテマリーンズ)2007年
栗山巧選手(西武ライオンズ)2006年
アレックス・カブレラ選手(西武ライオンズ)2005年
二岡智弘選手(読売ジャイアンツ)2001年
中村紀洋選手(近鉄バファローズ)1996年
西村徳文選手(ロッテオリオンズ)1989年
原辰徳選手(巨人)…1986年
※在籍チームは有鈎骨骨折をした当時
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