スポーツ中に起こりやすい怪我をご紹介しています。
その中でも特にテニスで起こる肘の痛みであるテニス肘について解説していきます。
テニス肘は通称で正式には「上腕骨外側上顆炎」のことをさす場合が多いです。
テニス肘にはバックハンドテニス肘とフォアハンドテニス肘の2つがありますが、単に「テニス肘」という場合は、比率の高いバックハンドテニス肘をさす場合がほとんどです。
このバックハンドテニス肘の正式名称が、上腕骨外側上顆炎です。
上腕骨外側上顆炎は、テニスをしていなくてもなります。
最近ではスマホやデスクワークで上腕骨外側上顆炎になる方が多く、「テニスをしていないのにテニス肘になった」という方が増えています。
テニス肘とは?正式名称は「上腕骨外側上顆炎」
テニス肘とは、肘の痛みを伴う肘の炎症です。
テニスをしている人に多く起こる症状ですので、テニス肘と呼ばれていますが、正式名称は「上腕骨外側上顆炎」です。
読み方が難しいですが「上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)」です。
この上腕骨外側上顆炎のことをテニス肘と呼んでいますので、テニスをしていなくてもテニス肘と診断される場合があります。
テニス肘は元々テニスをしている人に多い怪我ですが、そのテニス肘も大きく2つに分類されます。
1つは肘の外側に痛みが出る外側型のテニス肘で、バックハンドテニス肘と呼ばれます。
このバックハンドテニス肘が、上腕骨外側上顆炎です。
これに対して肘の内側が痛くなるテニス肘が内側型テニス肘で、フォアハンドテニス肘です。
フォアハンドテニス肘では、上腕骨内側上顆炎(じょうわんこつないそくじょうかえん)と呼ばれます。
ただ、確率的には圧倒的にバックハンドテニス肘が多く、何もつけずに「テニス肘」という場合はバックハンドテニス肘(上腕骨外側上顆炎)のことを指して言います。
また、テニス肘ではなくテニスエルボーと呼ぶ場合もありますが、言葉の意味としては同じです。
まとめると、テニス肘=上腕骨外側上顆炎=バックハンドテニス肘=テニスエルボー=外側型テニス肘と言えます。
ややこしいですが、怪我の名前はこのように複数の言葉で同じ症状をさしていることは多いです。
テニス肘はテニスをしていなくてもなる?
テニス肘は元々テニス愛好家ぐらいしかならないような怪我でしたが、近年は「テニスをしていないテニス肘」が増えています。
それがスマホ(スマートフォン)やパソコン操作(デスクワーク)で起こるテニス肘です。
テニス肘(上腕骨外側上顆炎)は、手首を立てた状態で長時間いたり、手首を立てた状態で過度な負担がかかると起こりやすい怪我です。
マウス操作やキーボード操作がまさにこの動きです。
少しの時間マウス操作やキーボード操作をしたところで何も起こりませんが、これが1日8時間以上を週5回、それが何年も続けば肘に負担がかかり続けます。
それに加えて運動不足や姿勢の不良に伴う肩周りの筋力や柔軟性の低下なども相まって、テニス肘が起こりやすい状態になります。
さらに重いものを持つときなどにも負担がかかりますので、重たい荷物を持って出張が多い、デスクワーク時間が長い、休みの日や休憩中はスマホを長時間使う場合はかなりテニス肘になるリスクが高いと言えます。
テニス肘の症状
テニス肘の症状としては、肘の外側に痛みが出ます。
安静時には特に痛みが出ない場合が多いですが、物を掴んで持ち上げる際や、ぞうきんを絞るような動作で肘の外側に痛みが出ることが多いです。
また、肘の外側を押しても痛みが出ることが多いです。
これは肘の外側にある筋肉や腱に炎症が起こっている為です。
肘の外側の筋肉がやたらと固い場合は。このテニス肘のリスクが高い状態と言えます。
この肘の外側が凝るという感覚はあまりないと思いますので、痛みが出るまで気が付かないことが多いです。
テニス肘の症状について、日本整形外科学会のホームページでの解説はこちらです。
ものをつかんで持ち上げる動作やタオルをしぼる動作をすると、肘の外側から前腕にかけて痛みが出現します。多くの場合、安静時の痛みはありません。
日本整形外科学会 テニス肘(上腕骨外側上顆炎)
「テニス肘(上腕骨外側上顆炎)」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる
このように、動かさないと痛みが減るので、テニス肘は放置されて悪化するというケースも多いです。
テニス肘の原因
テニス肘の原因は、基本的には肘の外側にある筋肉の使い過ぎです。
肘の外側には、長橈骨手根伸筋や短橈骨手根伸筋と呼ばれる手首を立てる際に働く筋肉の使い過ぎがテニス肘の原因と考えられていますが、十分には分かっていないのが現状です。
特に短橈骨手根伸筋がテニス肘に関与している筋肉と言われています。
この筋肉を過度に使ってしまう原因としては、まずは単純い使い過ぎであることが多いです。
テニスでバックハンドを過度に打つ、特にフォームが悪かったりミートのタイミングがずれた状態で無理やり打ったりということを繰り返すと、テニス肘になりやすいと言われています。
デスクワークなどでテニス肘になる場合も同様で、単に使い過ぎがテニス肘の大きな原因です。
加えて、筋力不足や姿勢・動きの不良などもテニス肘の原因となります。
肘関節は、隣接する肩関節がスムーズに動かないと過度な負担がかかります。
肩関節は球関節と呼ばれる本来は動きの大きな関節です。
ところが現代人は肩こりを抱えている人が多いように、肩周りの柔軟性や筋力が弱く姿勢が崩れている人が多いです。
いわゆる猫背や巻き肩のような姿勢であると、肩関節がスムーズには動きません。
このような状態でテニスをしているとテニス肘の原因となりますし、重いものを持ってテニス肘になる、デスクワークでテニス肘になる場合もほぼ間違いなく姿勢が猫背や巻き肩です。
テニス肘の治療方法|サポーターは有効?
テニス肘の治療方法としては、安静にすることが第一です。
これは使い過ぎで起こる怪我全般に言えることですが、使い過ぎているので安静にすれば痛みなどの症状は治まります。
ただ安静にするだけでなく、肘の外側の筋肉にストレッチやマッサージを施すとより治療が早く済みます。
場合によってはステロイド注射などを行うこともあり、重症化した場合は手術をすることもあります。
ただ、テニス肘で手術となるケースは稀で保存療法という手術をしない方法で治療することがほとんどです。
手術となる場合は内側型のテニス肘で、肘関節に関節ねずみ(関節遊離体)が出来てしまった場合に肘遊離軟骨除去手術が行われることはあります。
また、テニス肘でサポーターを使うことも多いですが、これも目的は使い過ぎの防止です。
その為、テニス肘にサポーターは負傷直後に安静にするのには効果的ですが、サポーターをしていればテニス肘が治るという訳ではありません。
サポーターの有無にかかわらず、テニス肘で痛みが引いて来たら根本的な原因を改善するためにリハビリ必要になります。
テニス肘の原因でもありましたが、猫背や巻き肩などの姿勢の崩れや肩関節の筋力・柔軟性不足がテニス肘の間接的な原因となります。
これらを改善しないと、1度テニス肘の症状が落ち着いても再び痛みが出る可能性が高いです。
テニス肘のリハビリ方法
テニス肘のリハビリとしては、まずはテニス肘で痛みなどの症状が強い場合は肘の外側の筋肉のマッサージやストレッチを行います。
それで痛みが落ち着いて来たら、本格的にリハビリを行います。
リハビリとしては、肘の外側のストレッチだけでなく肩周りの筋力強化や柔軟性の向上を目的としたリハビリも行います。
基本的には痛みが出ている箇所に問題があることは少なく、隣接する関節に問題があるケースが非常に多いです。
隣接する肩関節という大きな筋肉が多く付着している関節が正しく動けば、肘や手首などの末梢への負担も減ります。
特に姿勢を改善するためのトレーニングは必須です。
これは先に姿勢がどのように崩れているか?
肩などの筋力や柔軟性はどのようになっているかを詳しくチェックし、その状態に合わせたリハビリを行う必要があります。
テニス肘のリハビリは、再発を防ぐ意味でも身体の専門家であるパーソナルトレーナーや理学療法士などに依頼することがお勧めです。
怪我のリハビリ方法解説はこちら。
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