スポーツ中に起こりやすい怪我であるふくらはぎ肉離れについてご紹介します。
ふくらはぎは、特に肉離れが起こりやすい部位です。
ふくらはぎ肉離れは俗称であり、「下腿三頭筋肉離れ」「腓腹筋肉離れ」の方が正式名称と言えますが、一般的には「ふくらはぎ肉離れ」と呼ばれることの方が多いです。
また、別名「テニスレッグ」とも呼ばれます。
これはふくらはぎ肉離れの怪我がテニス選手によく起こることから、テニスレッグと呼ばれるようになりました。
もちろんテニス選手に多い怪我ではありますが、どのスポーツでも起こりうる怪我です。
ふくらはぎ肉離れとは?
ふくらはぎ肉離れとは、特に30代以降のスポーツ愛好家によくみられるふくらはぎの怪我です。
ふくらはぎ肉離れとは簡単に言えばふくらはぎの筋肉の損傷で、ふくらはぎの筋肉が急激に引き伸ばされた時に起こります。
ふくらはぎの筋肉が急激に引き伸ばされて負荷がかかる動作には、ジャンプやステップ、ダッシュなどの動作があります。
また、スポーツ中に限らず日常動作でも少し高い段差から飛び降りたり、電車が発車しそうな時に少し走ったりといった動作でもふくらはぎ肉離れの怪我は起こります。
ふくらはぎの筋肉は、正式名称では「下腿三頭筋」と呼ばれます。
下腿三頭筋は2つの筋肉で構成され、1つは「腓腹筋」、もう一つは「ヒラメ筋」です。
腓腹筋が外側の筋肉で、ヒラメ筋がその奥にあります。
ふくらはぎ肉離れとは、主にこの腓腹筋の肉離れです。
その為「腓腹筋肉離れ」「下腿三頭筋肉離れ」と呼ばれますが、ふくらはぎ肉離れ=下腿三頭筋肉離れ=腓腹筋肉離れと言えます。
また、別名テニスレッグとも呼ばれます。
このふくらはぎ肉離れの怪我は、テニスで起こりやすい怪我として有名です。
テニスはジャンプや切り返し、ダッシュなどのふくらはぎ肉離れが起こりやすい動作が多いスポーツです。
また、30代以降でも多く行われるスポーツですので、ふくらはぎ肉離れの怪我が起こりやすい人が多くやっていることもテニスでふくらはぎ肉離れの怪我が多い原因と言えそうです。
つまり、ふくらはぎ肉離れ=腓腹筋肉離れ=下腿三頭筋肉離れ=テニスレッグと言えます。
肉離れ全般の解説はこちらから
ふくらはぎ肉離れの原因
ふくらはぎ肉離れの直接的な原因は、ふくらはぎの筋肉である腓腹筋(下腿三頭筋)に対する急激な引き伸ばされた力です。
この急激に引き伸ばされた力に耐え切れず、ふくらはぎの筋肉が損傷してしまうのがふくらはぎ肉離れです。
ふくらはぎの筋肉に急激な引きのばされた力が加わる動作が、ジャンプ・ダッシュ・ステップ・切り返し動作などです。
その為、これらの動作がふくらはぎ肉離れの原因とも言えます。
日常生活でもおなじような負担がふくらはぎには掛かります。
階段を飛ばして降りる、急に走り出すなどの動作でもふくらはぎ肉離れが起こる場合がありますので、これもふくらはぎ肉離れの原因と言えます。
また、多くのスポーツ愛好家がジャンプもダッシュもしていますが、全員がふくらはぎ肉離れの怪我をする訳ではありません。
つまり、間接的なふくらはぎ肉離れの原因があります。
間接的なふくらはぎ肉離れの原因としては、ふくらはぎの筋肉への負担が元々強いことがあります。
具体的には姿勢の崩れで元々ふくらはぎに強い負担がかかる場合があります。
その姿勢がスウェイバック姿勢と呼ばれる姿勢で、骨盤が前方へスライドした姿勢です。
スウェイバック姿勢の原因は殿筋などお尻の筋肉の筋力低下と言われていますが、多くの日本人がこのスウェイバック姿勢になっています。
つまり、多くの日本人はふくらはぎ肉離れのリスクを常に抱えているとも言えます。
また、ふくらはぎ以外の怪我の影響でふくらはぎに過度な負担がかかっている場合もあります。
具体的には足首の怪我や太ももの怪我などがふくらはぎに負担をかけます。
また、右足の怪我が左足へ負担をかけますので、逆足の怪我が原因でふくらはぎ肉離れの怪我が起こりやすくもなります。
足関節内反捻挫(いわゆる足首の捻挫)や太もも裏肉離れ(ハムストリングス肉離れ)、逆足のふくらはぎ肉離れなどがふくらはぎ肉離れの原因となります。
さらには逆足のアキレス腱断裂などもふくらはぎ肉離れの原因となります。
また、ふくらはぎの筋肉の柔軟性低下や筋力不足もふくらはぎ肉離れの原因となります。
ふくらはぎ肉離れの症状
ふくらはぎ肉離れの症状は、人によって様々です。
走りだした瞬間にブチッと切れたような感覚がある場合もあれば、「なんだかふくらはぎの筋肉痛がひどいな」と思っていたら実はふくらはぎ肉離れだったという場合もあります。
ふくらはぎ肉離れの症状では、まずはふくらはぎに痛みが出ます。
ふくらはぎの特にアキレス腱のあたりに痛みが出ることが多いです。
また、徐々に腫れや内出血が起こります。
ふくらはぎ肉離れの痛みは、動かさなければ痛みが出にことが多いです。
ただ動かすと痛みが出る場合が多く、特に足関節の背屈動作と呼ばれる亜つま先を下に下げる動作でふくらはぎに痛みが出ます。
この痛みなどの症状は、ふくらはぎ肉離れの種類(重症度)によっても異なります。
ふくらはぎ肉離れの症状について、日本整形外科学会のホームページでの解説はこちらです。
症状
典型的なものは、スポーツをしているとき、ふくらはぎの内側の中央上部(上中1/3部)に痛みが生じます。大腿部に生じることもあります。
体重をかけると痛むために通常の歩行が出来なくなります。
日本整形外科学会 肉離れ
「肉離れ」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる
ふくらはぎ肉離れの全治
ふくらはぎ肉離れの怪我の全治は、ふくらはぎ肉離れの種類(重症度)によってことなります。
ふくらはぎ肉離れは主に3つの重症度で分類されます。
ふくらはぎ肉離れの最も軽症なⅠ度損傷は、部分的に小規模な微細損傷がある程度の肉離れです。
このⅠ度損傷であれば、ふくらはぎ肉離れの全治は1~2週間程度です。
比較的治療期間の短いふくらはぎ肉離れと言えます。
中程度のふくらはぎ肉離れがⅡ度損傷です。
Ⅱ度損傷では、歩行が困難になるレベルの重症度です。
このふくらはぎ肉離れⅡ度損傷では、全治は4~6週間程度と言われています。
また、最も重症なふくらはぎ肉離れがⅢ度損傷です。
Ⅲ度損傷では、ふくらはぎ肉離れに断裂が見られる重症な怪我です。
ふくらはぎ肉離れⅢ度損傷では、全治に6か月ほどかかる場合があり重症な怪我です。
ふくらはぎ肉離れの予防方法
ふくらはぎ肉離れの予防方法としては、まずはふくらはぎの筋肉の柔軟性や筋力をアップさせることです。
ふくらはぎ肉離れの原因となる急激な負担がかかっても、ふくらはぎの筋肉にある程度の筋力や柔軟性があれば耐えられます。
このふくらはぎの筋力や柔軟性が低下してくることから、30代以降にふくらはぎ肉離れが多発します。
また、そもそものふくらはぎの筋肉への負担を減らすことも、ふくらはぎ肉離れの予防方法になります。
ふくらはぎに負担がかかる姿勢の改善、ふくらはぎの負担をかけているその他の怪我のリハビリなどが、ふくらはぎ肉離れの予防方法となります。
また、股関節の筋力不足や柔軟性不足もふくらはぎの筋肉へ過度な負担がかかります。
いわゆるスクワットの動作で、しっかりと股関節が働かなければその分ふくらはぎが過度に働きます。
この為、姿勢改善の意味でも股関節の動きを改善する意味でも、股関節の筋力や柔軟性の向上はふくらはぎ肉離れの予防には欠かせません。
ふくらはぎ肉離れのリハビリ方法
ふくらはぎ肉離れのリハビリ方法としては、まずは怪我をした初期は安静にする必要があります。
怪我をした初期はまだ内出血がありますので、アイシングやテーピングでの固定が一般的です。
その後痛みや腫れが落ち着いたらリハビリを開始します。
まずは軽い負荷から少しずつふくらはぎの筋肉を動かしていきます。
徐々に負荷を上げて、ふくらはぎの筋肉や柔軟性を強化します。
その為、チューブなどを使ったふくらはぎの筋力強化やふくらはぎのストレッチが、ふくらはぎ肉離れのリハビリとしてよく行われます。
もちろんこれらもふくらはぎ肉離れの有効なリハビリ方法ですが、先程のふくらはぎ肉離れの予防方法で挙げたような方法もリハビリ方法として有効です。
いくらふくらはぎの筋力や柔軟性が戻っても、ふくらはぎへの負担が変わらなければふくらはぎ肉離れは再発します。
ふくらはぎ肉離れはただでさえ再発の多い怪我で、ふくらはぎ肉離れの怪我の再発率は90%とも言われます。
また、ふくらはぎ肉離れをするような負担が続けば、より大きな怪我であるアキレス腱断裂に繋がる可能性もあります。
アキレス腱断裂はふくらはぎ肉離れよりも圧倒的に治りが悪い大きな怪我です。
アキレス腱断裂に至る前に、しっかりと治す為にもふくらはぎ肉離れのリハビリは重要です。
また、足がつりやすい場合は、その後にふくらはぎを肉離れするリスクがありますので、足がつりやすいで済んでいるうちに対策が必要です。
ふくらはぎ肉離れの怪我を負ったスポーツ選手
ふくらはぎ肉離れは別名テニスレッグと呼ばれるだけあって、テニス選手に多い怪我です。
ただ、ジャンプやダッシュなどで起こるので多くのスポーツで起こります。
ここでは、ふくらはぎ肉離れの怪我をしたスポーツ選手を一部ご紹介します。
錦織圭選手(テニス) 左ふくらはぎ肉離れ(もしくは筋膜炎?)で2015年ウィンブルドンを棄権
岡島秀樹投手 (野球) 左ふくらはぎ肉離れで全治2~3週間
吉村裕基選手(野球) 右ふくらはぎ肉離れの怪我で全治2~3週間
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