グロインペイン症候群とは?グロインペイン症候群のリハビリ解説

スポーツ中に起こりやすい怪我について解説しています。

スポーツ中でも特にサッカー選手に起こりやすいグロインペイン症候群(鼠蹊部痛症候群)について解説します。

 

グロインペイン症候群は「サッカー選手の職業病」と呼ばれるくらいサッカー選手に起こりやすい怪我です。

また、治療方法なども確立されておらずとにかく治りにくい、慢性化しやすい怪我と言えます。

多くの国内・海外の有名サッカー選手も、このグロインペイン症候群の症状に悩まされています。

そんなグロインペイン症候群について解説していきます。

 

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グロインペイン症候群(鼠蹊部痛症候群)とは?

グロインペイン症候群とは、サッカー選手に多いとされる股関節の付け根の怪我です。

症候群とは、一つの根本的な原因から生じる身体症状や精神症状のことです。

つまり、グロインペイン症候群もその一つです。

 

グロインペイン症候群とは、別名「鼠蹊部痛症候群」と言われています。

鼠蹊部とは、簡単に言えば足の付け根です。

 

場所の説明が難しいので、痛みを訴える選手も「足の付け根」「股関節」「股間の上」「お腹から足の付け根」とアバウトなことが多いです。

グロインペイン症候群とも鼠蹊部痛症候群とも言いますが、ここではグロインペイン症候群に統一して解説します。

グロインペイン症候群は、鼠蹊部の痛みの総称と言えます。

 

詳しく見ていくと、グロインペイン症候群は下記のように分類できます。

・恥骨結合炎

・内転筋腱障害

・スポーツヘルニア

・腸腰筋の機能障害

・鼠蹊管後壁欠損

・外腹斜筋腱膜損傷

 

一般的には馴染みのないものばかりですが、鼠蹊部の痛みに繋がる原因はこれくらい多岐にわたります。

つまり、グロインペイン症候群と言ってもこれくらい多くの種類があると言えます。

これらの原因は特にサッカー選手に多い動作で起こります。

そのため、多くのサッカー選手がこのグロインペイン症候群の症状に悩まされます、

 

グロインペイン症候群の症状

グロインペイン症候群の症状としては「鼠蹊部の痛み」が挙げられます。

鼠蹊部の痛みは、やはり表現が難しく「下腹部が痛い」「股関節が痛い」「足の付け根が痛い」などの表現が多いです。

 

グロインペイン症候群の初期症状としては、サッカーでボールを蹴る時の痛みや全力で走る時の痛みなど限定的な運動時痛が起こります。

グロインペイン症候群が悪化していくと、徐々に痛みが出る頻度が増え軽度の運動でも痛みが出るようになります。

 

最初は強くボールを蹴る時だけ痛みが出たものの、徐々に蹴る動作全般で痛みが出る。

最初は全力で走る時だけ痛みが出たものの、徐々に歩いていても痛みが出るようになる。

このようにしてグロインペイン症候群の症状は悪化していきます。

 

ただグロインペイン症候群は極論使い過ぎですので、休めばこれらの症状は改善します。

ところがまた動けばまた痛みが出ますので、根本的な改善には繋がりません。

この休めば良くなるけど治らないという症状が、グロインペイン症候群が長引く原因でもあります。

このようなグロインペイン症候群の特徴が、やっかいな怪我と言われる所以です。

 

グロインペイン症候群の症状について、明大前整形外科ホームページではこのように解説しています。

 

症状
・ボールをけるとき痛む(痛くてボールが蹴れない)
・歩行時に痛い
・腹筋時に痛い
・下肢を内転(閉じる)すると痛い

 

明大前整形外科クリニック グローインペインシンドローム

グローインペインシンドローム | 明大前整形外科クリニック
Groin pain syndrome(鼡径周辺部症候群) 位置 股関節、恥骨、陰部周辺の痛み 症状 ・ボールをけるとき痛む(痛くてボールが蹴れない) ・歩行時に痛い ・腹筋時に痛い ・下肢を内転(閉じる)すると痛い 注意:・痛みが強くなる...

 

グロインペイン症候群の原因

サッカーの怪我

グロインペイン症候群の原因は多岐にわたります。

そもそもグロインペイン症候群が様々な怪我の総称と言えますので、グロインペイン症候群の原因も様々です。

 

ただ、グロインペイン症候群の原因の多くは股関節への過度な負担や股関節の誤った動きの繰り返しの結果起こることが多いようです。

つまり、グロインペイン症候群の原因は痛みが出ている鼠蹊部だけの問題ではなく周りの組織の動きが悪いせいで起こることが多いと言えます。

 

その為、グロインペイン症候群の前に膝や足首などの怪我を抱えたままプレーを続け、それが原因でグロインペイン症候群になるということもあります。

 

膝の怪我であれば膝内側側副靭帯損傷や半月板損傷の怪我後にまだ痛みが残る中プレーを続けるなどがグロインペイン症候群の原因となります。

足首の怪我では足関節内反捻挫の怪我(足首捻挫)が多いです。

 

また、グロインペイン症候群と並んでサッカー選手の職業病と言われる第5中足骨骨折もかばったり、痛みが残る中プレーをしたりするとグロインペイン症候群の原因となります。

 

このような怪我をかばうことで本来の股関節の動きが出来なくなり、股関節周囲に過度な負担がかかりグロインペイン症候群を引き起こす原因となります。

 

また、これらは鼠蹊部よりも下の問題ですが、鼠蹊部よりも上の問題でもグロインペイン症候群は起こります。

グロインペイン症候群は股関節の屈曲という曲げる動きで起こりますが、この時骨盤や背骨も連動して動きます。

 

この際に、骨盤や背骨の可動域が狭く(つまり柔軟性が低い状態)動きが悪いと、結果的に股関節が過度に動いて負担がかかります。

その結果、グロインペイン症候群の原因となります。

 

グロインペイン症候群の治療方法

グロインペイン症候群の治療方法は、基本的には安静にします。

グロインペイン症候群は使い過ぎ(オーバーユース)で起こりますので、安静にすればオーバーユースは改善されて痛みは減ります。

 

そして実際に治療として行うのは、マッサージやストレッチ・電気治療などです。

股関節に繋がる筋肉である太ももの筋肉やお尻の筋肉などにマッサージや電気治療などを行うことで痛みの緩和に繋がります。

また、鼠蹊部や股関節に炎症が起こって痛みが出ていますのでアイシングなども有効です。

 

グロインペイン症候群と言われて治療をする場合はこのような治療方法が一般的ですが、確かに痛みは減りますが根本的なグロインペイン症候群の改善には繋がらないことが多いようです。

 

それは先ほどのグロインペイン症候群の原因でもあったように股関節や骨盤・背骨などが正しい動きをしないと鼠蹊部の靱帯や筋肉が擦れるなどして炎症が起こるからです。

 

マッサージや電気治療などが悪い訳ではありませんが、それで痛みが引いて即競技復帰ではまた同じような痛みが出てしまいます。

そしてより悪化したグロインペイン症候群となっていきますので、マッサージや電気治療などの治療で痛みが引いたらそこからリハビリを開始する必要があります。

このリハビリがしっかり出来れば、グロインペイン症候群を根本から改善することができます。

 

グロインペイン症候群のリハビリ方法

グロインペイン症候群のリハビリとは、グロインペイン症候群の原因から考えると主に2つのアプローチが考えられます。

1つは骨盤や背骨の動きを正すリハビリ方法、もう一つは股関節の動きを改善するリハビリ方法です。

 

骨盤や背骨の動きを正すリハビリとしては、体幹トレーニングなどが紹介されることが多いようです。

たしかに広く括れば体幹トレーニングですが、体幹の筋力がつく=グロインペイン症候群のリハビリとは言えません。

 

グロインペイン症候群のリハビリが骨盤や背骨の動きが悪いことで起こるので、一般的なイメージの体幹トレーニングではその動きが伴わないものが多く、正直グロインペイン症候群のリハビリとしては不十分なことが多いと思います。

 

グロインペイン症候群の原因となる動きは、股関節の屈曲という曲げる動きです。

それを改善するには、骨盤の後傾という動きと背骨の屈曲という動きがスムーズに出る必要があります。

 

この動きをスムーズに行うには、ハムストリングスなど太ももの筋肉の柔軟性や背中や腰の筋肉の柔軟性がしっかりあること。

 

腹筋群の筋肉の柔軟性がしっかりあること、そしてそれらが協調して働くことなどが求められます。

骨盤の動きを引き出すおすすめトレーニング方法などを動画で見て真似をしても、なかなかできないのが実際です。

 

人間の身体の動きは非常に複雑ですので、まずはどのような動きをしているか、なぜ背骨や骨盤の動きが悪いかを詳しくチェックする必要があります。

 

これは股関節の動きも同様で、股関節の動きに関わる筋肉は多々あります。

そしてそれらの筋肉のどこに問題があって股関節の動きが悪いか?

 

また股関節の動きを悪化させる膝や足首の問題はないか?

などを詳しくチェックしたうえでリハビリを行わないと、グロインペイン症候群の根本的な改善は難しいです。

 

グロインペイン症候群のリハビリには、パーソナルトレーナーや理学療法士などの専門家へ依頼することをお勧めします。

 

グロインペイン症候群になったサッカー選手一覧

グロインペイン症候群になったサッカー選手は数え切れないほど多くいます。

サッカー選手に限らずサッカーをやっている高校生や中学生でも多くの方がグロインペイン症候群の症状を持っていると思います。

 

ここでは、グロインペイン症候群であることがニュースになったサッカー選手・スポーツ選手をご紹介します。

 

<グロインペイン症候群になったサッカー選手>

中田英寿選手 グロインペイン症候群も引退の原因と言われています

中村俊輔選手 グロインペイン症候群を抱えながら現役でプレーしていると言われています

ジネディーヌ・ジダン選手 レアルマドリードの監督となったジダンも現役時代はグロインペイン症候群に悩まされたようです

長谷部誠選手 日本代表キャプテンの長谷部誠選手もグロインペイン症候群持ちです

柏木陽介選手 左股関節痛で日本代表から別メニュー調整と発表されましたが、グロインペイン症候群が疑われます

リオネル・メッシ選手 右鼠蹊部痛症候群(グロインペイン症候群)の怪我を抱えていると言われています

 

<グロインペイン症候群になったスポーツ選手>

平田良介選手(野球・中日ドラゴンズ) 2016年グロインペイン症候群で登録抹消されました

野球選手には珍しい怪我です

 

グロインペイン症候群のまとめ

・グロインペイン症候群は鼠蹊部の痛み

・グロインペイン症候群はサッカー選手に多い怪我

・グロインペイン症候群は休めば良くなるが、それでは根本的には治っていない

・グロインペイン症候群の改善は股関節だけでなく複合的なリハビリが必要

 

この記事を書いた人
中谷圭太郎

東京の東中野・落合にあるピラティス&コンディショニングスタジオhc-life代表トレーナー。スタジオ経営、パーソナルトレーニングレッスンの傍ら、公式ブログを中心にトレーニングや健康に関する情報を発信中。

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