サッカー選手に非常に多い怪我に、第5中足骨骨折があります。
下駄骨折、ジョーンズ骨折(Jones骨折)など様々な呼び名がありますが、これらは同じ第5中足骨骨折でも少し意味が違います。
有名なサッカー選手が数多く怪我をしたことがある第5中足骨骨折。
再発率が高いことで知られる厄介な骨折ですが、この第5中足骨骨折について解説していきます。
第5中足骨骨折とは?
第5中足骨骨折とは、足の甲の骨折です。
足の指は専門的には親指・人差し指という名前ではなく1指・2指となります。
第5中足骨とは、足の小指です。
足指の骨は、中足骨・基底骨・中節骨・末節骨に分かれていて、1本の骨ではありません。
中足骨はこの中で最長の骨で、目に見える足の指よりもかなり下まであります。
第5中足骨骨折で折れる場所は、足の甲のちょうど真ん中あたりですので、足の指の骨折というよりは足の甲の骨折と言った方がしっくりくるかもしれません。
第5中足骨骨折とは、この小指の中足骨の骨折です。
この第5中足骨のどの場所が骨折するかで名前が変わります。
足の甲の骨、第1から第5まである中足骨のうち、第5中足骨の基部の骨折をいいます。
また、スポーツなどによって繰り返すストレスでも第5中足骨の,この場合は少しつま先寄りに骨折を生じることもあります。 ジョーンズ(Jones) 骨折と呼ばれる特殊な疲労骨折です。
一般社団法人日本骨折治療学会
一般社団法人 日本骨折治療学会一般社団法人 日本骨折治療学会, Japanese Society for Fracture Repair, JSFR Official Site
第5中足骨基底部骨折は下駄骨折
第5中足骨骨折の中で、第5中足骨の後方部分(足首寄り)の骨折のことを下駄骨折(下駄履き骨折)と言います。
下駄履き骨折の場合は受傷直後から足の小指が強く痛み、腫れが起こります。
また、内出血もあり普通に歩けなくなります。
第5中足骨骨折の中ではジョーンズ骨折に比べ、下駄履き骨折の方が治りが早いと言われています。
同じ第5中足骨骨折でもどの部分の骨折かで復帰時期は異なります。
下駄骨折は足首捻挫の1つである足関節内反捻挫に伴って起こることが多いです。
第5中足骨骨幹部骨折はジョーンズ骨折(Jones骨折)
下駄履き骨折の位置よりもやや前側(つま先側)の骨折がジョーンズ骨折(Jones骨折)です。
この第5中足骨骨幹部は骨癒合が悪い場所と言われ、簡単に言えば折れた後の骨がくっつきにくいところです。
つまり、ジョーンズ骨折は治りが悪い第5中足骨骨折と言えます。
第5中足骨骨折の場合は手術の適応となるケースが多いと思います。
また、ジョーンズ骨折は治りが悪い上に再発率も高い厄介な怪我です。
サッカーやラグビーなど、細かいステップワークが多いスポーツで起こりやすい怪我です。
第5中足骨骨折の全治
先程のように、第5中足骨骨折は骨折している場所によって治りの良し悪しが変わります。
第5中足骨骨折基底部骨折(下駄履き骨折)の場合は治りが良く、第5中足骨骨折骨幹部骨折(ジョーンズ骨折)の場合は治りが悪いです。
一般的にはどちらも第五中足骨骨折の全治は3か月程度と言われています。
痛みが治まるまで約1か月、腫れが引くまで2~3か月程度と言われています。
ただ、スポーツ競技への完全復帰となるともう少しかかる場合が多いです。
何しろ再発が多いですので、じっくり治さずに急いで復帰して再度痛めるリスクが高いです。
第5中足骨骨折は早期復帰をおすすめ出来ない怪我ですので、じっくり治すべきだと思います。
痛みが引くまでの期間が1か月ですので、その後は「もう大丈夫」と思いがちですがしっかり3~4ヶ月は見た方が賢明です。
また、ジョーンズ骨折の場合は手術の選択肢が多いですが、下駄履き骨折の場合は保存療法(手術はしない)場合が多いようです。
第5中足骨骨折の原因
第5中足骨骨折はサッカー、バスケ、ラグビーなどで多い骨折です。
第5中足骨骨折の原因としては、ジャンプ動作や着地、切り返し動作などによってこの第5中足骨に過度な負担がかかり続けた結果の疲労骨折です。
また、下駄骨折のように足首を捻挫した際に一緒に第5中足骨骨折を引き起こす場合もあります。
スポーツ中ではない時の第5中足骨骨折は、基本的には転倒によって足首をひねって痛めることが多いです。
ただ、やはりサッカーやバスケ、ラグビーなどのスポーツ中に多い怪我と言えます。
これらのスポーツはジャンプ、着地、切り返し動作などの連続です。
「第5中足骨骨折はサッカー選手の職業病」と言われることもあり、それだけ頻繁に起こる怪我です。
第5中足骨骨折のリハビリ方法
第5中足骨骨折からの復帰には、やはり時間がかかります。
まずは骨折しているので、荷重が出来ません。
つまり、しばらく足に体重をかけて歩けない状態になります。
骨がくっつくまでの期間があり、そこから再び走ったりジャンプしたりまでとなると長い道のりです。
ただ、注目しないといけないのはこれが疲労骨折であるという点です。
つまり、長年この第5中足骨に過度な負担がかかり続けた結果の骨折ですので、第5中足骨に過度な負担がかかる動きを長年してきたと言えます。
これは手術をしても変わりませんので、この過度な負担がかかる動きを改善することがリハビリで求められます。
簡単に言えば外側体重になり過ぎる傾向があるはずです。
これは足関節の柔軟性や股関節の筋力などに問題があるケースが多いです。
足の荷重は、一般的に踵3:拇趾球2:小趾球1と言われています。
拇趾球は親指付け根で、小趾球は小指付け根です。
つまり、3点の中で小指側は一番比率が少ないです(骨のサイズを見ればそれは明らかですね)。
第5中足骨骨折を起こす場合は、この小趾球側の過度な荷重がかかり続けたことが原因として考えられます。
第5中足骨骨折のリハビリはこの偏った過度な荷重の改善が必須です。
スクワット動作、ジャンプ動作、着地動作などを一つずつ洗い出し、これらの動作をしっかり正しい荷重で行えるようにリハビリを進めます。
荷重をかけられるまでは時間がかかりますので、その前に荷重をかけない状態で股関節や足関節の改善を図る必要があります。
再び第5中足骨骨折となる場合は、このリハビリで第5中足骨への負担軽減が出来なかったことが考えられます。
再び3か月以上の離脱を強いられないように、長年の動きを変える必要があります。
第5中足骨骨折をしたサッカー選手一覧
第5中足骨骨折は1年に多くのサッカー選手が受傷しています。
これは日本人選手だけでなく海外の選手も同じです。
以下が、第5中足骨骨折をしたことがある有名サッカー選手の一覧です。
第5中足骨骨折をした日本人サッカー選手
清武弘嗣選手(当時ハノーバー)
香川真司選手(当時ドルトムント、日本代表戦で負傷)
李忠成選手(当時サウサンプトン)
室屋成選手(明治大学からFC東京へ加入直後に負傷)
小野伸二選手(当時フェイエノールト)
玉田圭司選手(当時名古屋グランパス)
柳沢敦選手(当時鹿島アントラーズ)
※所属は当時
第5中足骨骨折をした海外のサッカー選手
ハメス・ロドリゲス選手(レアルマドリード)
ウェイン・ルーニー選手(マンチェスターユナイテッド)
マイケル・オーウェン選手(当時ニューカッスル)
アシュリー・コール選手(当時アーセナル)
※所属は当時
その他大勢いるはずですが、これだけでも多くのサッカー選手が第5中足骨骨折をしていることが分かります。
これだけ多くの例がありますので、やはり第5中足骨骨折はサッカー選手の職業病と言われても仕方がないと思います。
この第5中足骨骨折と並んでサッカー選手の職業病と言われる怪我が、グロインペイン症候群です。
グロインペイン症候群とは、鼠蹊部痛症候群とも呼ばれる股関節の痛みが出る怪我です。
第5中足骨骨折も治りにくい怪我ですが、グロインペイン症候群も非常に治りにくい怪我です。
サッカー選手はこのような怪我と常に隣り合わせでプレーしていると言っても過言ではありません。
ただ、高校生や中学生などの成長期のサッカー選手には、無理をして将来に響かないようにしっかりとした治療・リハビリをしてもらえればと思います。
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