スポーツ中に多い怪我の中でも最大級に重症の怪我であるアンハッピートライアド(不幸の3徴候)をご紹介します。
「アンハッピートライアド」や「アンハッピートライアッド」「アンハッピートライアット」など、英語をカタカナにする際の表現の違いで書き方は色々存在します。
日本語では不幸の3徴候と呼ばれます。
文字通り不幸な怪我で、膝の前十字靭帯断裂・膝内側側副靭帯損傷・内側半月板損傷の3つの怪我が同時に起こる大怪我です。
アンハッピートライアドとは?
アンハッピートライアドとは、スポーツ中に多い怪我の中では非常に重症度の高い怪我です。
アンハッピートライアドは日本語で不幸の3徴候と呼ばれます。
英語では「un happy triad」と書きます。
意味としては日本語の通り不幸の3徴候です。
Triadをカタカナで表現する時に、「アンハッピートライアド」「アンハッピートライアッド」「アンハッピートライアット」など様々な表現が分かれます。
個人的にはトライアッドが一番合っていると思いますが、トライアドが一番多いようなので、ここではトライアドで統一します。
アンハッピートライアドの怪我とは膝の大怪我で、3つの怪我が同時に起こる怪我です。
1つは膝前十字靭帯断裂。
もう一つは、膝内側側副靭帯損傷(断裂)。
さらに膝内側半月板損傷です。
それぞれ単独で起こってもかなり大きな怪我ですが、それが3つ同時に起こる怪我ですので、まさに不幸の3徴候と呼べる怪我です。
アンハッピートライアドの原因
アンハッピートライアドはそれぞれ3つの怪我が起こるのと同じようにして起こります。
膝が内側に捻じれた状態で体重がかかり、過度なストレスが前十字靭帯や内側側副靭帯にかかってしまい、このストレスに靭帯が耐えきれず損傷してしまいます。
アンハッピートライアドで同時に3つの怪我が起こる原因としては、3つの怪我が起こる原因が同じであることが挙げられます。
前十字靭帯断裂も内側側副靭帯損傷も、半月板損傷も同じように膝が内側に捻じれた状態でストレスがかかることによって起こります。
それぞれの靭帯がお互いに守り合うようにして膝を保護してしますので、その1つが切れればさらにもう一つの靭帯により大きなストレスがかかりと怪我の連鎖が起こります。
また、個人的にはこのような大きな怪我の前に小さな怪我が起こっていることが原因となると思います。
アンハッピートライアドの前に内側側副靭帯にだけ微細損傷があった。
アンハッピートライアドの前に足関節内反捻挫の怪我で膝へ過度なストレスがかかっていた。
このような小さな怪我が、アンハッピートライアドのような大きな怪我を引き起こす原因となります。
アンハッピートライアドの全治
アンハッピートライアドは文字通り非常に大きな怪我です。
アンハッピートライアドの全治は1年ほどかかる大きな怪我です。
アンハッピートライアドと1口に言っても、靭帯の損傷具合によって全治は変わります。
前十字靭帯断裂で内側側副靭帯も断裂となると、かなり復帰までの時間はかかります。
アンハッピートライアドから順調に回復しても1年を切るくらいだと思いますので、全治10カ月などでの復帰例もあります。
ただ、アンハッピートライアドは非常に大きな怪我ですので、復帰を急げるような怪我ではないと思います。
いかに早く復帰できるか?という怪我というよりは、どうやって復帰するか?という怪我です。
つまり、選手生命に関わる大きな怪我です。
アンハッピートライアドは手術を受けるべき?
アンハッピートライアドでは、ほぼ間違いなく手術の適応となります。
アンハッピートライアドの手術というよりは、断裂した前十字靭帯の再建手術、断裂や損傷の激しい内側側副靭帯の再建手術、内側半月板の縫合手術や除去手術などが同時に行われます。
それぞれの手術はよく行われる手術です。
前十字靭帯断裂の手術は太もも裏の筋肉の腱を移植するなどして前十字靭帯を再建します。
前十字靭帯単独断裂の場合は、手術をしない保存療法という場合もあります。
この場合、膝崩れと呼ばれる膝に負担がかかることが起こり得ますので、合わせて内側側副靭帯損傷や内側半月板損傷も起こっている場合はよりリスクがある選択となります。
アンハッピートライアドのリハビリ方法
アンハッピートライアドのリハビリ方法は、前十字靭帯断裂や内側側副靭帯損傷、内側半月板損傷のリハビリと基本的には同じです。
まずは手術を受けた後はまともに体重をかけて歩くことが出来ません。
むしろ膝を動かすことが出来ませんので、まずは膝の曲げ伸ばしのリハビリからスタートします。
その後歩行動作までリハビリを行って、そこからようやくスポーツの復帰に向けたリハビリとなります。
アンハッピートライアドの怪我は膝が内側に捻じれて起こりますので、このようなことが起こらないようにリハビリをしていきます。
股関節の筋力や柔軟性の改善、足関節の柔軟性や筋力の改善。
着地動作をしっかり行う為のスクワットなどの基本動作から、着地動作の改善、スプリント動作からの切り返し、減速、ストップ動作など様々な動作で膝に過度な負担がかからない動きを身に付けていきます。
アンハッピートライアドのリハビリでは、怪我をする前のパフォーマンスに戻すというよりはいかにスポーツに復帰するか?といったイメージです。
ただ実際にアンハッピートライアドの怪我からスポーツに復帰している例は多々あります。
代表的なのはサッカーなでしこリーグのINAC神戸の京川舞選手です。
2012年にINAC神戸に入団した京川舞選手ですが、入団して間もない2012年5月に左膝アンハッピートライアドの怪我を負っています。
その後も復帰後に再度左膝半月板損傷の怪我を負うなど、苦しいリハビリ期間がありましたが、2015年にはなでしこジャパンにも選ばれ3試合に出場しています。
2012年の怪我前には新人選手ながらなでしこリーグの得点王争いを独走していた京川舞選手ですので、そういった頃の期待からするともっと活躍を期待される選手です。
ただ、アンハッピートライアドの大怪我からしっかり復帰してプレーできるということを証明してくれている選手だと思います。
アンハッピートライアドまとめ
アンハッピートライアドは文字通りの大怪我で、選手生命に関わる怪我です。
復帰までも相当な時間がかかります。
ただそれでも復帰の可能性がある怪我です。
大変なリハビリですが、再発のリスクを下げられるようにしっかりとリハビリを行ってスポーツへの復帰を目指すべき怪我と言えます。
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