腰痛などでよく聞く「ヘルニア」。
しかし、ヘルニアって何?と聞かれると、意外と答えられないと思います。
そんな知っているようで知らない言葉「ヘルニア」をパーソナルトレーナーが解説していきます。
ヘルニアはかなり範囲の広い言葉ですので、身体の色々な場所で使われる言葉です。
ヘルニアとは?ヘルニアの言葉の意味
ヘルニアとは、身体の状態を表す言葉です。
ヘルニアの語源は、ラテン語の「脱出」という言葉です。
そのまま脱出をラテン語で「ヘルニア」と言います。
ヘルニアという言葉の定義は、「身体のある組織が何らかの理由によって正常な位置から逸脱(脱出)した状態」ということが出来ます。
ヘルニアでは腰のヘルニアである腰椎椎間板ヘルニアが有名で、ヘルニア=腰というイメージが強い方もいると思います。
ただ、ヘルニアは組織が逸脱したこと全般を指して言いますので、腰以外でもヘルニアは起こります。
イメージとしては、「骨折」や「打撲」のような怪我の一種と言っていいと思います。
ヘルニアでは飛び出た椎間板が神経を圧迫して痛みが出ます。
その結果、腰のヘルニアで腰が痛いだけではなく足の痺れなの症状が出ます。
これは神経症状と言われますが、腰を通って足に繋がる神経が圧迫されるので足の痺れが出ます。
このように、ヘルニアでは症状が出る範囲が広くなるのが特徴です。
ヘルニアの種類一覧
ヘルニアは組織が正常な位置から逸脱した状態ですので、身体の色々な部位で起こります。
ただ、ヘルニアが起こりやすい部位も決まっています。
こちらが、よく起こるヘルニアの種類一覧です。
・腰椎椎間板ヘルニア
・頸椎ヘルニア
・鼠径ヘルニア
大きくはこの3つが起こりやすいヘルニアです。
また、これらはさらに細かく分類できます。
頸椎ヘルニアの種類
頸椎ヘルニアは、頸椎という首の骨の間にある椎間板が正常な位置から逸脱することです。
椎間板とは、背骨と背骨の間にある組織でクッション材の役割を果たします。
頸椎同士がぶつかって損傷しないように、クッションの役割を果たします。
頸椎ヘルニアでは、逸脱した椎間板が首を通る神経を圧迫します。
神経が圧迫されると、痛みが出たり痺れが出たりします。
首を通る神経は腕に繋がりますので、腕の痺れなどを伴う症状が出ます。
頸椎は全部で7個あり、どの頸椎とどの頸椎の間の椎間板が逸脱したかで種類が変わります。
一般的に頸椎ヘルニアが起こりやすいのは、第5頸椎~第6頸椎の間と言われています。
その次は第6頸椎~第7頸椎、その次は第4頸椎~第5頸椎です。
第5頸椎とは、7個ある頸椎のうち上から5番目の頸椎という意味です。
首に過度な負担のかかるデスクワークが多い人や、猫背などの首のゆがみがある人に起こりやすいと言えます。
また、ラグビーやアメフトなどで首を強く打って起こる、外傷性の頸椎ヘルニアもあります。
腰椎椎間板ヘルニアの種類
腰椎椎間板ヘルニアは、ヘルニアの中でも特に有名だと思います。
基本的には頸椎ヘルニアも腰椎のヘルニアも原理は同じです。
腰の背骨である腰椎と腰椎の間にある椎間板が正常な位置から逸脱してしまうことを、腰椎椎間板ヘルニアと言います。
腰椎椎間板ヘルニアも頸椎ヘルニアと同じように、椎間板が逸脱して神経を圧迫します。
腰を通る神経は足に繋がります。
その為、腰椎椎間板ヘルニアでは足の痺れや痛みを引き起こします。
酷い場合は立てない、歩けないレベルの痛みが出ます。
腰椎椎間板ヘルニアで特に起こりやすいのは、第5腰椎~仙椎、次いで第4腰椎~第5腰椎と言われています。
腰椎は全部で5つありますが、その下に仙椎という骨があります。
大まかに言えば、仙椎は骨盤の骨と言えます。
背骨はそのまま骨盤に繋がります。
ヘルニアの中では特に起こりやすいのが、腰椎椎間板ヘルニアです。
また、腰椎椎間板ヘルニアまではいかない手前の症状を腰椎椎間板症と言います。
鼠径ヘルニアの種類
鼠径ヘルニアとは、先ほどの頸椎ヘルニアや腰椎椎間板ヘルニアとは違って内臓のヘルニアです。
鼠径ヘルニアは、お腹の中にあるはずの腹膜や腸が鼠蹊部の筋膜の間から皮膚下まで出てしまう症状です。
いわゆる「脱腸」のことです。
鼠径ヘルニアには種類があり、大きく3種類に分類されます。
・外鼠径ヘルニア
・内鼠径ヘルニア
・大腿鼠径ヘルニア
外鼠径ヘルニアとは、鼠径靭帯の上で外側から出るヘルニアです。
鼠径ヘルニアでは最も多い症状です。
内鼠径ヘルニアとは、鼠径靭帯の上で内側から出るヘルニアです。
大腿鼠径ヘルニアとは、鼠径靭帯の下から出るヘルニアです。
産後の女性に起こりやすい鼠径ヘルニアです。
ヘルニアが起こる原因
ヘルニアが起こる原因は、一言で言えば過度な負担です。
例えば、腰椎椎間板ヘルニアであれば腰に過度な負担がかかり続けて起こります。
そもそも腰椎椎間板ヘルニアで逸脱する椎間板は、腰を守る組織です。
腰に負担がかかっても大丈夫なようにするための組織ですが、その組織もあまりに負担がかかり続ければ耐え切れなくなります。
耐え切れなくなった結果が、ヘルニアです。
生まれつきの椎間板の大きさや厚さ、背骨の大きさ、腰回りの筋力、姿勢や動きなどの不良、スポーツ動作など様々な要因が重なって腰椎椎間板ヘルニアは起こります。
また、その近辺に怪我がある場合もより負担が強くなり、ヘルニアの原因となります。
鼠径ヘルニアなどは過去の怪我や手術なども影響します。
産後に鼠径ヘルニアが起こるのも、その典型例と言えます。
ヘルニアの治療方法
ヘルニアの治療方法としては、重症の場合は手術の選択肢があります。
逸脱した組織を元の位置へ戻す、もしくは逸脱した組織の一部切除などを手術で行います。
もちろん、そのヘルニアの重症度などによって異なります。
頸椎ヘルニアや腰椎椎間板ヘルニアでは、過度な負担がかからないようにリハビリトレーニングを行うことで症状の改善が見られます。
腰椎椎間板ヘルニアは、自然吸収と言って手術をしなくても改善する例があります。
また、鼠径ヘルニアでは手術となることが多いです。
ヘルニアが疑われる場合は、まずは病院で医師の診察を受けて、治療方針を決定します。
そして手術をする場合でもしない場合でも、リハビリが必要です。
特に腰椎椎間板ヘルニアや頸椎ヘルニアは手術をすればそれで治るというよりも、元々の負担がかかり続けたことが原因ですので、その原因が解決しなければ根本的な解決にはなりません。
その為、ヘルニアの再手術ということも少なくありません。
頸椎ヘルニアや腰椎椎間板ヘルニアの場合は、特にリハビリが重要になると言えます。
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