どのようなスポーツでもよく起こる「足首捻挫」について解説していきます。
足首捻挫は、大きく2種類あります。
1つは足関節内反捻挫、もう一つは足関節外反捻挫です。
割合としては圧倒的に足関節内反捻挫が多く、9割以上は足関節内反捻挫と言われています。
そんな足首捻挫の怪我は再発率が高く、「足首捻挫は癖になる」とも言われます。
こちらのページでは、足首捻挫の症状や原因・全治までの期間やリハビリ方法などについてパーソナルトレーナーが解説しています。
特に足首捻挫のリハビリは、再発予防の為に重要です。
足首捻挫とは?
足首捻挫とは、足首を捻ったことで起こる怪我です。
捻挫とは、正常な可動域を超える動きを強制された際に靱帯などの組織を損傷する怪我を指します。
その為、軽く足首を捻った程度でも足首捻挫と言えますし、骨折を伴う大きな怪我でも足首捻挫と言えます。
足首捻挫はスポーツ中に起こる怪我の中でも最も発生頻度の高い怪我と言えます。
軽い足首捻挫も含めれば、本当に多くの場面で足首捻挫の怪我は起こります。
足首捻挫は着地の際に受傷しますが、ジャンプでの着地に限らず走っている時や相手選手とぶつかってバランスを崩した際の着地も含まれます。
これは日常生活でも同じで、階段の踏み外しなどで足首捻挫の怪我起こります。
足首捻挫には大きく2種類の捻挫があります。
1つは足関節内反捻挫です。
足関節内反捻挫とは、足の甲が外側に向く状態で捻挫する足首捻挫です。
足関節内反捻挫では、主に足首の外側の靱帯を損傷します。
具体的には、前距腓靭帯・踵腓靭帯・後距腓靱帯の3つが主に足関節内反捻挫で損傷する靱帯です。
稀に足首の内側の靱帯である二分靱帯を損傷していることもあります。
2つ目は足関節外反捻挫です。
これは足関節内反捻挫とは反対に、足の甲が内側に向く状態で起こる足首捻挫です。
足関節外反捻挫では、足首の内側の靱帯である三角靱帯を損傷します。
また、腓骨骨折や内果骨折といった骨折を伴うことも多く、足関節内反捻挫に比べて重症化しやすい捻挫です。
発生頻度では足関節内反捻挫が圧倒的に多く、90%以上の足首捻挫は足関節内反捻挫と言っていいと思います。
その為、スポーツ選手が「足首捻挫で離脱」といったニュースがあった場合はほぼ間違いなく足関節内反捻挫です。
発生頻度が低いものの、足関節外反捻挫は重症化しやすい怪我です。
頻度が高く比較的軽症なものの再発しやすいのが足関節内反捻挫、頻度は低いものの重症化しやすいのが足関節外反捻挫と言えます。
足首捻挫の症状
足首捻挫の症状としては、痛みや腫れ・内出血や熱感などがあります。
足首捻挫は軽症であっても強い腫れが出ることがあり、履いていた靴が履けなくなるほど強い腫れが症状として現れます。
また、時間が経つと青紫色に変色しますが、これは内出血の影響です。
その為、見た目としてはかなり重症の怪我に見えるような症状が現れます。
痛みもあり、特に体重をかけた時に痛みが出ます。
重症度によっては重心を乗せられないくらいの痛みが出ますので、松葉杖や車椅子が必要になることもあります。
また、足首捻挫と共に骨折がある場合もあります。
いわゆるくるぶしである外果骨折・内果骨折などを併発する足首捻挫があります。
この場合はさらに腫れや痛みが強くなります。
ただ、軽症と思われても念のため骨折を疑って一度整形外科でレントゲン検査を受けた方が安心です。
ただの足首捻挫だと思っていたら、実は骨折が後から分かったというケースも多いです。
足首捻挫の症状について、日本整形外科学会ホームページではこのように説明されています。
足関節(足首)捻挫のほとんどは、足関節を内側に捻って生じます。
足関節外側の靭帯(前距腓靱帯)が損傷します。
外くるぶし(外果)の前や下に痛みがあり、腫れます。
また、外くるぶしの前や下を押さえると、痛みます。日本整形外科学会ホームページ
「足関節捻挫」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる
やはり大半は足関節内反捻挫ということになります。
足首捻挫の原因
足首捻挫の原因は、関節の可動域を超える動きを強制する強い外力です。
つまり、関節が支えきれない強い力で足首を捻られたことが原因で足首捻挫は起こります。
具体的には、ジャンプの着地を失敗、相手選手と接触して転倒した際に着地を失敗、着地の際に何かを踏んで足首を捻るなどが直接的な足首捻挫の原因です。
一言で言えば着地失敗が足首捻挫の原因です。
着地の際には片足に全体重が乗ります。
その時に足首が捻られていると、体重がかかった状態でその捻りを強制します。
その為、体重がかかっていない状態で足首を捻っても捻挫はしません。
また、間接的な足首捻挫の原因としては股関節の筋力不足や膝の怪我などが関係します。
下半身の動きは、足首(足関節)・膝関節・股関節の3つの関節が連動することで強い力を発揮できます。
この3つの関節は連動して働きますので、どこかの関節の異常は他の関節に影響を与えます。
股関節の筋力が足りなければ、足首に過度な負担がかかり足首捻挫をしやすい動きを支えられません。
膝の怪我があれば、足首に過度な負担がかかることがあります。
逆に、足首捻挫の怪我が膝の怪我の原因となることもあります。
個人的には、足首捻挫が膝の怪我の原因と成るケースが多いよう感じます。
膝半月板損傷や膝内側側副靭帯損傷といった大きな怪我は、軽症の足首捻挫をかばってプレーを続けた際に起こりやすいと思います。
足首捻挫の全治までの期間(完治までの期間)
足首捻挫の全治までの期間(完治までの期間)は、足首捻挫の重症度によって大きく異なります。
また、足関節内反捻挫か足関節外反捻挫かでもかなり差があります。
軽症であれば数日で完治しますが、重症であれば半年以上完治までかかる場合もあります。
足首捻挫(足関節内反捻挫)の全治までの期間目安
・足関節内反捻挫Ⅰ度損傷(軽症の足首捻挫)
全治2~3日
長くても完治までは1週間あれば大丈夫です
・足関節内反捻挫Ⅱ度損傷(中程度の足首捻挫)
全治2~3週間
すぐに復帰は難しいですので、完治までは期間がかかります。
・足関節内反捻挫Ⅲ度損傷(重症の足首捻挫)
全治1~2か月
かなり完治まで期間がかかります。
場合によっては手術の可能性もあり、手術となればさらに完治まで期間がかかります。
・足関節外反捻挫
足関節外反捻挫は重症化しやすい足首捻挫で、完治までの期間の目安が分かりにくい怪我です。
足関節内反捻挫のように数日で完治ということはないですので、軽症でも完治までの期間が2~3週間、重症であれば2~3か月以上完治までの期間がかかります。
また、これらの全治までの期間はあくまで目安です。
靱帯の損傷具合や炎症の程度によって完治までの期間は異なりますので、医師の判断を仰ぎましょう。
足首捻挫の応急処置方法
足首捻挫の応急処置方法としては、RICE処置が一般的です。
RICE処置とは、応急処置方法の頭文字をとったものです。
R…安静(レスト)
I…冷却(アイシング)
C…圧迫(コンプレッション)
E…挙上(エレベーション)
足首捻挫の怪我をしたら、まずは安静にします。
そしてアイシングをしますが、この時合わせてバンテージなどで圧迫します。
アイシングをする際は、心臓よりも足首を高い位置に挙上します。
また、急性期という炎症が激しい期間が終わった後もサポーターやテーピングなどで固定して極力安静を保ちます。
最近ではあまり安静にしない方が早く治るとのことで、積極的に動かすという手法もあります。
ただ、まだ一般的な処置方法としてはこのRICE処置だと思いますので、この手順での応急処置をお勧めします。
足首捻挫のリハビリ方法|タオルギャザーは効果的?
足首捻挫のリハビリ方法としては、様々な方法があります。
一般的によく行われるのが、タオルギャザーという足の指のリハビリです。
足首捻挫で安静に固定していると、この足の指が動かなくなり再発率が上がります。
それを防ぐ為のリハビリがこのタオルギャザーです。
ただ、個人的にはタオルギャザーは足首捻挫のリハビリとしては重要度が低いと考えています。
これよりも大きな足首捻挫の原因が他にあると思いますので、そちらを改善する方が足首捻挫の再発予防に効果的だと思います。
足首捻挫の原因は人によって異なりますので、まずは原因を詳しくチェックする必要があります。
股関節の筋力や柔軟性、着地動作の動きの癖、逆足の筋力や走り方、片足立ちのバランスなど色々とチェックが必要です。
そのチェックで分かった欠点を改善するようなストレッチやトレーニングが足首捻挫の再発予防には必要です。
このリハビリトレーニングやストレッチがなければ、足首捻挫を再発して「足首捻挫が癖になる」可能性が高くなります
足首捻挫の再発予防トレーニングの解説はこちらから
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