スポーツ障害やスポーツ中に多い怪我について解説しています。
こちらのページでは、関節ねずみについて解説していきます。
「関節ねずみ」とは俗称で、正式には「関節遊離体」や「関節内遊離体」と言います。
これは怪我などが原因で出来た骨の破片ですが、この骨の破片が身体に様々な影響を及ぼします。
その為、この関節ねずみを取り除く手術もよく行われます。
関節ねずみとは?
関節ねずみとは、関節内に出来た骨の破片のことを言います。
関節ねずみとは俗称で、正式名称は「関節遊離体」「遊離軟骨」「関節内遊離体」などと呼ばれます。
ただ正式名称が長い上に色々な呼び方がされるので、関節ねずみと呼ばれることの方が多いと思います。
関節ねずみは何らかの怪我で骨に負担がかかり続けた結果、骨が剥がれて起こります。
この骨の破片が、関節ねずみとなります。
関節ねずみは、関節内にあるだけでは特に何も症状はありません。
ただ、関節ねずみが神経に当たれば痛みや痺れなどが起こります。
関節ねずみが関節に挟まれば、ロックして可動域が大きく下がります。
このような症状が出ては消え、また出てというように気まぐれに症状が出ることが多いです。
この症状が関節内でいたずらをしているようであり、関節内を漂っていることから「関節ねずみ」という名前が付きました。
関節ねずみの原因
関節ねずみが出来る原因は、何らかの怪我で起こります。
関節に過度な負担がかかり続けると、関節内の軟骨に負担がかかります。
その度重なる負担に耐え切れずに、軟骨が剥がれていくことがあります。
これが、関節ねずみが出来る原因です。
特に関節ねずみが出来やすい関節に肘があります。
肘で関節ねずみが出来る原因は、いわゆる野球肘と呼ばれる肘離断性骨軟骨炎という怪我です。
野球肘では肘に度重なる負担がかかり、その結果肘の軟骨が剥がれて関節ねずみができます。
中学生や高校生でも起こりやすい怪我ですが、プロ野球選手でも起こります。
プロ野球選手も、毎年のように誰かがこの関節ねずみを取り除く手術を受けています。
関節ねずみが出来やすい場所は「肘」「膝」「足首」の3か所
関節ねずみは肘だけではなく、どこの関節でも起こり得ます。
ただ、特に関節ねずみが出来やすい関節は3つです。
1つ目は、先ほどの「肘」です。
野球肘が原因で出来る肘の関節ねずみは、特に多いと思います。
2つ目は、足首です。
足首も、足首捻挫の怪我を繰り返すことで関節ねずみが出来ます。
足首捻挫では足首の靱帯損傷が起こりますが、同時に剥離骨折も起こっている場合があります。
これに気付かずに、知らぬ間に剥離骨折で関節ねずみが出来ていることがあります。
この剥離骨折で関節ねずみが出来て、捻挫の症状が治まっても痛みが続く場合があります。
3つ目は膝です。
膝でも過度な負担がかかり続けた結果、関節ねずみが出来ることがあります。
この膝の関節ねずみを放置しておくと、変形性膝関節症など大きな症状に繋がる可能性があります。
関節ねずみで起こる症状
関節ねずみで起こる症状は、まずは痛みがあります。
これは常にある訳ではなく、痛みが出たり出なかったりとはっきりしない症状です。
関節ねずみが神経に当たれば痛みが出ます。
神経を圧迫すれば、痺れや痛みが出ます。
その為「電気が走った」と感じる症状があれば、これは関節ねずみによる神経症状です。
肘の関節ねずみは、机の角に肘をぶつけてビリっとするのと同じような原理で神経症状が出ます。
また、ロッキングという特徴的な症状もあります。
これは関節ねずみが関節に挟まることで関節が動かなくなり、固まってしまう症状です。
関節に挟まって動かなくなりますので、不自然な可動域制限を感じることになります。
このロッキングを繰り返すことで、関節にはさらに負担がかかり他の怪我にも繋がりません。
関節ねずみは放っておいても、症状が出ては消えるので「だましだまし」でスポーツを続けることが出来ます。
ただ、その場合はこのロッキング症状が原因でより大きな怪我に繋がる可能性があります。
関節ねずみを取り除く手術(遊離軟骨除去手術)
関節ねずみが出来てしまった場合、治療で関節ねずみを消すことはできません。
その為、対策としては手術で取り除くしかありません。
ただ取り除いてしまえば、関節ねずみの症状は出なくなります。
再発の可能性も当然ありますが、それは再び関節ねずみが出来るような怪我があった場合です。
再び野球肘の症状が出たり、足首捻挫を繰り返せば再手術という可能性もあります。
そのような怪我がもうなければ、再発はしません。
関節ねずみを取り除く手術を、遊離軟骨除去手術といいます。
遊離軟骨除去手術は、最近では内視鏡手術で行われて影響は最小限です。
ただ、完治までは3か月程度かかります。
そして、手術後に固定しているので筋力や柔軟性が一時的に低下しますのでリハビリが大変です。
さらに、感覚が大きく変わる可能性があります。
これは野球の投手に多いですが、今まで関節ねずみがある状態で何年も投球を続けていた場合、急に関節ねずみのない状態になると今までと感覚が変わります。
その為、今までのフォームの感覚などが狂って調子が悪くなる可能性もゼロではありません。
逆に今まで肘の可動域を制限していた関節ねずみが無くなることで、フォームがスムーズになり成績を大きく上げる投手もいます。
多少のギャンブル的な要素はあるものの、それでも関節ねずみを残し続けるリスクの方が大きいと思います。
関節ねずみが既にあって、症状が出ている場合は遊離軟骨除去手術を受けてしまった方がいいと思います。
そしてその後のリハビリをしっかり行うことで、手術で得られるメリットを最大限活かすことが重要です。
関節ねずみで手術を受けたスポーツ選手一覧
関節ねずみで手術を受けたスポーツ選手は多くいます。
ここではその一部をご紹介します。
金子千尋投手(野球) 右肘遊離軟骨除去手術
柳田悠岐選手(野球) 右肘遊離軟骨除去手術
田中将大投手(野球) 右肘遊離軟骨除去手術
今宮健太選手(野球) 右肘遊離軟骨除去手術
小笠原慎之介投手(野球) 左肘遊離軟骨除去手術
関節ねずみが出来る前に対策が必要
このように、関節ねずみが出来てしまった後には手術しか根本的な解決方法がありません。
その為、大事なのは関節ねずみが出来た後の対策よりは関節ねずみが出来ないような予防です。
関節ねずみの予防としては、野球肘の予防や足首捻挫の予防となります。
野球肘であれば、多くお場合は投げ過ぎです。
野球肘はスポーツ障害の一種ですので、使い過ぎが原因で起こります。
また、同時に肘に負担がかかり過ぎとも言えます。
肩の柔軟性や筋力などが不足することで、肘への負担は増します。
このような基礎的な柔軟性や筋力を身に付けてから投球数を増やすことが、野球肘の対策となります。
足首捻挫も、1回目の足首捻挫の後にしっかりとリハビリを行えば、足首の関節ねずみが出来るようなリスクを最小限にすることが出来ます。
足首捻挫のリハビリでは、足裏の筋力なども重要ですが股関節の筋力も重要です。
特にお尻や太ももの筋力がしっかりしていれば、足首捻挫のリスクを最小限に留めることが出来ます。
このような地道なリハビリトレーニングが、関節ねずみを未然に防ぐ予防策となります。
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