スポーツ中の怪我や、加齢に伴う痛みなど何かと怪我や痛みが付き物の「膝」。
膝関節は専門的には「中間関節」と呼ばれ、股関節と足関節(足首)に挟まれた関節です。
膝の怪我は、この股関節や足首に何らかの問題があって起こるケースが多く、膝だけを見ていると怪我の再発や悪化が起こりやすいやっかいな怪我と言えます。
こちらのページでは、膝関節の怪我について運動指導の専門家であるパーソナルトレーナーが解説します。
膝の怪我の種類一覧
膝の怪我には多くの種類があります。
「膝痛」と言ってしまえば簡単ですが、膝のどこを怪我したのか、どのように怪我したのかで膝の怪我の種類は様々です。
膝の怪我を種類別に分けて考えないと、怪我の回復に向けたリハビリや再発防止のストレッチ・トレーニングなども変わってきます。
また、膝の怪我が治るまでの期間や治療方法も変わります。
膝の怪我をしてしまったら、まずはどのような膝の怪我なのかを知ることが大切です。
膝の怪我の種類①膝の靱帯損傷
まずはスポーツ中に多い膝の怪我と言える、膝の靱帯損傷です。
靱帯損傷とは、文字通り靱帯を損傷してしまう怪我です。
靱帯は身体の各関節にあり、靱帯の種類も多いです、
靱帯の役割は関節の過度な動きを制限することですが、あまりにも強い負荷が加わると靱帯が耐えきれず損傷してしまいます。
酷い場合は靱帯が断裂します。
膝の靱帯断裂となると治るまでの期間が非常に長い大怪我に繋がります。
こちらが、スポーツ中に起こりやすい膝の靱帯損傷の種類です。
・膝内側側副靭帯損傷
・膝前十字靭帯損傷
・膝後十字靭帯損傷
・膝外側側副靭帯損傷
膝には大きく4つの靱帯があります。
他にも細かい靱帯はありますが、特に大きな靱帯はこの4つです。
前後と内側外側ですので、分かりやすい構造ではあります。
この膝の靱帯の中で特に損傷しやすい靱帯が、内側側副靭帯です。
膝の内側側副靭帯は、膝が内側に入る動作で負荷がかかります。
膝内側側副靭帯損傷の解説はこちら。
内側側副靭帯の次に損傷しやすい靱帯が、前十字靭帯です。
前十字靭帯は、ストップ動作やジャンプの着地で大きな負荷がかかります。
膝前十字靭帯損傷の解説はこちら。
この2つが特に多い膝の靱帯損傷の怪我です。
後十字靭帯は転倒で膝から落ちた時などに起こりやすいですが、発生頻度は低いです。
外側側副靭帯も、横からタックルを食らうなどの特殊な状況で起こりやすい怪我です。
サッカーやラグビーなどのスポーツでは比較的多いですが、やはり内側側副靭帯・前十字靭帯に比べれば少ないです。
その他靱帯ではなく軟骨というくくりですが、半月板損傷も膝の怪我の1つです。
半月板は膝のクッション材のような役割で、内側半月板・外側半月板の2つがあります。
半月板損傷の解説はこちら。
また、これらの膝の靱帯損傷の怪我は必ず1つだけ損傷する訳ではありません。
中には2つが同時に損傷・断裂するなど大怪我もあります。
その中で特に大きな怪我が、内側側副靭帯・前十字靭帯・半月板を同時に損傷するアンハッピートライアドという怪我です。
膝の怪我の種類②膝のスポーツ障害
膝の怪我は靱帯損傷だけでなく、他の理由でも起こります。
その他で多いのは、繰り返しの負荷で起こる膝の怪我です。
先ほどの靱帯損傷の怪我は、繰り返し負荷がかかっていたのも原因ですが、最終的には1回の強い負荷がかかって損傷します。
膝の怪我には強い負荷がかかった訳ではなく、繰り返し軽微な負荷がかかった結果痛みが出るものもあります。
この場合は膝をいつ怪我したのかよくわからないという場合が多いです。
こちらがそのような繰り返しの膝への負荷で起こる怪我です。
・鵞足炎
・ランナー膝(腸脛靭帯炎)
・ジャンパー膝(膝蓋靱帯炎)
鵞足炎は最近ではデスクワーカーにも多い膝の怪我です。
股関節の柔軟性が低い状態で長時間座っていると、鵞足炎を発症するケースが最近増えています。
ランナー膝は膝の外側が痛くなる怪我で、ランナーに多い怪我からランナー膝と呼ばれています。
ただ特にランニングなどをしていなくても起こる場合もあります。
ジャンパー膝は、膝のお皿の下あたりが痛くなる怪我です。
ジャンプ動作で起こりやすい怪我であることから、ジャンパー膝と呼ばれています。
膝の怪我の種類③高齢者に多い膝の怪我
高齢者になると膝が痛い人が多いイメージがあると思います。
「軟骨がすり減って膝が痛い」
「水が溜まって膝が痛い」
などの言葉はよく聞くところだと思います。
これが正しいか正しくないかは疑問ですが、膝の痛みに悩まされる高齢者は多いと思います、
高齢者の特に女性で多い膝の怪我が、変形性膝関節症です。
これは長年の負担で膝が変形してしまう症状です。
変形性膝関節症となると治すのが難しくなりますので、早期に対応が求められます。
また、先ほどの膝の靱帯損傷や膝の障害も高齢者では多く起こります。
膝の怪我の種類④成長期に多い膝の怪我
膝の怪我が中学生や高校生などの成長期にも多いです。
いわゆる成長痛が膝に起こります。
成長痛と呼ばれるものは、一般的にはオスグッドである場合が多いです。
オスグッドは、正式にはオスグッド・シュラッター病と言います。
オスグッドでは成長段階の軟骨が剥がれるような負荷がかかり、強い痛みが出ます。
また、スポーツをしている成長期の選手は、靭帯損傷やランナー膝・ジャンパー膝なども起こしやすいと言えます。
膝の怪我の原因
膝の怪我の原因としては、様々なことが考えられます。
一言で言えば、膝に強い負荷が起こった結果、膝を怪我します。
この膝に強い負荷がかかる原因は、膝にはないことが多いです。
膝関節は専門的には中間関節と言います。
中間関節とは、股関節と足関節(足首)に挟まれた間の関節という意味です。
中間関節である膝関節は、実はあまり大きな動きが出来ません。
その代わり股関節と足関節は動きが大きい関節です。
この股関節と足首が上手く動かない場合は、代わりに膝が過度に動いてします。
つまり、膝に負担がかかる場合は股関節と足首の動きが悪いことが原因になりやすいです。
足首の怪我である捻挫や、股関節の柔軟性・筋力不足は膝に負担をかけます。
股関節の柔軟性は、デスクワークなど同じ姿勢でいると特に低下しやすいです。
また、過去に足首や股関節の怪我をしたり痛みや違和感を抱えていると膝の怪我の原因になります。
逆足の膝の怪我も、かばった結果膝の怪我に繋がります。
このように、過去の怪我が新たな怪我の原因となりますので、怪我が多い人はよりリハビリが大切になります。
膝の怪我のリハビリ方法
膝の怪我のリハビリでは、先ほどの膝の怪我の原因にあるように膝に何かを施すのではなく、足首と股関節を改善します。
股関節は球関節と呼ばれるとても動きの多い関節で、股関節の柔軟性は膝の怪我のリハビリにはとても大事な要素です。
足首も股関節程ではないですが、動きの多い関節です。
この2つの関節の柔軟性が上がるだけでも、膝への負担は減ります。
膝の怪我でやっかいなのは、膝が治っても股関節や足首の問題が変わらないとまた膝を怪我しやすいということです。
このような理由で膝の怪我は繰り返すことが多いですが、膝の怪我が癖になるというよりも膝の怪我の根本的な原因が変わっていないと言えます。
その為、しっかりとリハビリをしないと膝の怪我は繰り返しやすいと言えます。
膝の怪我解説まとめ
・膝の怪我は靱帯損傷、スポーツ障害など種類が多い
・高齢者は変形性膝関節症が多い
・成長期にはオスグッドが多い
・膝の怪我の原因は股関節と足首であることが多い
・膝の怪我のリハビリには股関節と足首のトレーニングが重要
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