極限の集中状態「ゾーン」とは?スポーツで見られるゾーン体験の解説

 

スポーツ中には大きな集中力が必要です。

これはスポーツには限ったことではないですが、スポーツでの集中力はスポーツのパフォーマンスに直結します。

 

どんな一流選手でも集中力を欠いてしまう場面は必ずあります。

 

では、スポーツ中に集中しているとはどのような状態なのか?

もっと言えば、極限に集中している状態はどのようなものなのか?

 

これの1つの答えが「ゾーン」です。

 

「ボールが止まって見えた」

「相手の動きが全て見えた」

「コート全体が俯瞰で見えた」

 

このような通常あり得ないような体験をしたことがあるスポーツ選手は多くいると思います。

私も何度かゾーン体験をしたことがあります。

 

なかなか狙ってできることではないですし、分かっていないことも多い「ゾーン」についてご紹介します。

 

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ゾーンとは?極限の集中状態「ゾーン」の意味

ゾーンとは、極限の集中状態を指す言葉です。

 

明確な定義はないと思いますが、「集中・没頭している状態」というのがゾーンの言葉の意味です。

 

ゾーンとは、心理状態を指す言葉ですが、似た意味で使われる言葉に「フロー」という言葉があります。

 

フローの方が言葉の定義はしっかりされているようです。

 

フロー (英: Flow) とは、人間がそのときしていることに、完全に浸り、精力的に集中している感覚に特徴づけられ、完全にのめり込んでいて、その過程が活発さにおいて成功しているような活動における、精神的な状態をいう。ZONE、ピークエクスペリエンスとも呼ばれる。心理学者のミハイ・チクセントミハイによって提唱され、その概念は、あらゆる分野に渡って広く論及されている。

 

ウィキペディアより抜粋

 

簡単に言えば、ゾーンもフローも「すごく集中している状態」です。

 

ゾーンとフローの言葉の意味は同じようなものと考えていいと思います。

 

ゾーンに入ると起こる現象は、人によって異なります。

 

「周りの音が聞こえなくなった」

「全てがスローモーションで見えた」

「ボールが止まって見えた」

などの、現実にはあり得ないようなことを体験している場合が多いようです。

 

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実際にスポーツでゾーン体験した例

それでは、実際にスポーツでゾーン体験した例をご紹介します。

 

バスケットボールの神様マイケルジョーダンは、「プレー中にゾーンに入ると周りの音が聞こえなくなった」とコメントしています。

 

また、テニスで一時代を築いたアンドレ・アガシ選手は「自分がゾーンに入る時はテニスボールがスイカくらいに見えた」とコメントしています。

 

ここで実際に私が体験したスポーツ中のゾーンをご紹介します。

 

私は小学校・中学校と野球をしていて、高校・大学はテニスをしていました。

どちらもレベルは全く高くないですが、野球で2回、テニスで1回ゾーンに入った経験があります。

 

最初にゾーンに入ったのは、中学1年生で野球をやっている時でした。

小学生までは軟式野球をしていて、中学からリトルリーグで硬式野球を始めました。

 

リトルリーグは市に1つしかチームがなく、いわば市選抜のようなレベルのチームです。

少年野球チームは何十チームもありますので、レベルが突然高くなります。

 

少年野球では4番でチーム首位打者だったものの、リトルリーグでは周りのレベルについていけず、完全に自信を失った状態でプレーをしていました。

 

打率も2割を切っている状態で臨んだ練習試合の第1打席で、簡単に追い込まれて「また三振か」という雰囲気の中、変化球に泳がされたもののたまたまバットに当たって自分が思ったよりも遥かに打球が特に飛びました。

 

結果はセンターへの犠牲フライ。

しかし、チームに貢献できたという嬉しさと、泳がされてもあんなに打球が飛ぶのかという自信で精神的に楽になりました。

 

その試合はその後の打席で、バットを振れば全て真芯に当たったヒットになりました。

 

「相手投手のボールが全て見える」

「相手投手の投げるボールの軌道が完全に見える」

「バットを振れば必ずボールが真芯にあたる」

という感覚でした。

 

結果的に、その日の練習試合3試合の合計で8打数8安打でした。(試合前は打率2割以下)

 

その後は元通りとまではいかないものの、同じような結果が出ることはありませんでした。

 

しかし数年後、右打者から左打者に転向した初めての試合でまた全打席安打ということがありました。

 

この時も、ボールの軌道が完全に見えて振れば必ず芯にあたるという感覚でした。

そして、その感覚はその日限りでした。

 

この時は次の打席でも続いていましたが、テニスの時は1プレーだけゾーンに入ったということがありました。

 

テニスのリターンを打つ瞬間に、相手の動きが超スローモーションに見えました。

 

リターンを打つ瞬間、ボールがラケットに当たった瞬間に時間が一瞬止まり、相手の重心が完全に左に寄ったのが見えました。

右に打てば確実にポイントが獲れると思い、そちらに力を入れて打ち返すと相手は全く反応ができませんでした。

 

この時の感覚は、このような感じでした。

「ボールがラケットに当たったまま5秒くらい止まった感覚」

「周りがスローモーションに見えた」

「ボールに対してどう力を入れればどこに飛ぶかわかる感覚」

 

しかしこの時は、この1プレーのみに起こった感覚でした。

調子はとてもよかったものの、その後足をつって負けてしましました。

 

これらすべてのゾーン体験は狙ったやった訳でもなく、再現も出来ませんでした。

持続もよく分かりませんでした。

 

ただ、「集中力が高かった」では済まないような不思議な感覚でした。

 

スポーツでゾーンに入る方法は?

では、スポーツでゾーンに入る方法はどのような方法があるのでしょうか。

これはまだまだ分かっていないことが多く、様々な意見があります。

 

「何も考えていない状態を作る」

「目標を明確にする」

「セルフイメージを高める」

「ルーティンを行う」

 

などのゾーンに入る方法がありますが、個人的にはどれもしっくりきません。

 

自分がゾーンに入った時は明確な目標をもってプレーしていた訳でもなければ、特にルーティンもないです。

多くの場合が格上相手など、事前にセルフイメージが高く保てていた訳ではありません。

 

個人的には一番しっくりくるゾーンの入り方は、「逆U字曲線」という考え方です。

 

逆U字曲線とは、スポーツ心理学で用いられるリラックスと興奮のバランスを表す曲線です。

 

逆U字曲線

 

この逆U字曲線の左側はリラックスし過ぎの状態です。

集中力を欠いている状態とも言えます。

 

逆U字曲線の右側は興奮し過ぎの状態です。

興奮し過ぎの状態というよりも、緊張し過ぎの状態と言った方が適切かもしれません。

 

この興奮し過ぎずリラックスし過ぎずの理想的な精神状態が、最もパフォーマンスが高いと言えます。

 

この興奮とリラックスのバランスが完璧に一致した時に、ゾーンに入ると考えられます。

これが個人的には最もしっくりくる説明です。

 

ある程度のところまではコントロール出来ても、最後のゾーンに入るかは運の要素も強いと思います。

 

私がゾーンに入った時は全て、過緊張状態からふと冷静になった瞬間だったと思います。

 

興奮し過ぎのエリアにあったものが、リラックスに傾いて絶妙な位置で止まってくれたことでゾーンに入ったと思います。

 

この逆U字曲線で考えれば、誰でもゾーンに入ることができると思います。

ただ、誰でも狙ってゾーンに入るのは困難だとも言えます。

 

ゾーンに入る練習は出来る?

ゾーンに狙って入るのは難しいですが、ゾーンに近いエリアに入る練習は可能です。

 

これも逆U字曲線で考えると分かりやすいです。

 

過度に興奮している状態からリラックスに傾ける方法は、「リラクセーション方法」が色々とあります。

 

最も簡単なものが深呼吸です。

呼吸は意識と無意識を繋ぐものと言われています。

 

呼吸を早くすれば興奮状態に入り、ゆっくり呼吸をすればリラックス状態に入ります。

 

また、筋弛緩法と言い、思いっきり力を入れた状態から一気に脱力を繰り返すことでもリラックスは出来ます。

 

逆にリラックスし過ぎの状態から興奮状態に持っていく方法を「サイキングアップ」と言います。(サイキアップとも言います)

 

これは先ほどの呼吸を早める方法もありますが、手拍子をしたり軽く弾んだりと心拍数を上げるようなことをします。

 

テンションが上がるような音楽を聴くのも効果的です。

 

ゾーンに入る方法は簡単ではありませんが、逆U字曲線を活かして興奮とリラックスをコントロールすることがパフォーマンスアップにつながります。

 

特に過緊張状態は、イップスや燃え尽き症候群などの精神的な問題で起こるパフォーマンス低下にも繋がりますので、興奮とリラックスのコントロールはスポーツにおいて非常に重要な要素です。

 

イップスの解説はこちらから

 

燃え尽き症候群の解説はこちらから

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